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No.1149 心の恋人?

復員兵だった父は、言うよりも手足の方が先に出る、ちょっぴりスパルタカスな人でした。私の「じゃがいも」型のごつごつした頭の形は、その名残(?)かも知れません。
 
大分の田舎の山村生まれのそんな私が、ヨックモックの「ポーム ド テール」(フランス語で「ジャガイモ」の意味だとか?)という洋菓子があることを知ったのは、昭和47年に上京し大学生活を送るようになってからです。
 
初めて口にした時、松田優作ばりに
「なんじゃこりゃー!」
とのけぞる美味さでした。おそらく両眼がハート形をしていたと思います。
 
「数ヶ月間じっくり丁寧に洋酒に漬け込んだフルーツを使ったフルーツケーキとバタークリームを、マジパンとミルクチョコレートで包み込みました」
と説明のある「ポーム ド テール」は、当時、6個入1000円前後だったと思います。私には贅沢な品で、プレゼントとして利用してきた「おまみえ」級の菓子でした。
 
その菓子は、な・な・なんと1972年(昭和47年)の誕生でした。奇しくも、田舎者の私が夢を背負って上京した年に当たっていました。自分勝手に「縁」を感じていましたが、1981年(昭和56年)に大分に帰省して以降、その「縁」が遠のいていました。
 
2月14日の朝、カミさんがニコニコしながら小さな箱をプレゼントしてくれました。??と思いながら開封すると、あの見覚えのある缶の中に「ポーム ド テール」嬢(フランス語では女性名詞?)が6個、きれいな紙に包まれて、輝くように鎮座していました。お口の恋人ロッテチョコレートならぬ、心の恋人「ポーム ド テール」(画像)、おなつかしや!
 
とはいえ、あれから50年が経ちました。なかなか、やおねぇ人生のお仲間でした。私は「空腹時血糖」「HbA1c」ともに「H」(高い)の検査結果を押し頂く老人にヘンシーンしてしまいました。冷蔵庫の保存室に大切にしまわれた「よかもん」ですが、2つ目をいつ食べようかと思案中です。
 
私は、カミさんに愛されているのでしょうか?
 
「洋菓子にラム酒滲ます夜の秋」
 澤田 緑生(1918年~2010年)