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No.778 小人の国と巨人の国のトイレ

おとぎの国を訪れたのは30年以上前のことです。お城は花壇で囲まれ、机も椅子も小さくてかわいい…。
 
特にトイレは印象的でした。トイレのスリッパのサイズは15cmあまりです。私は、爪先立ちしながらスリッパをはきました。便器も膝以下の高さです。まさに「小人の国」に迷い込んだガリバーのような気分になりました。娘が、この幼稚園で学び、遊んでいるのかと思ったら、思わず口元が緩んで来ました。
 
かと思えば、「巨人の国」を訪れたこともあります。修学旅行でイギリスのベリー・セント・エドモンドの高校生たちと交流したのは、今から15年ほど前の事です。男子トイレに入ったのですが、その小用便器の設置された位置の高いことといったらありません。悪ふざけか、意地悪かと思えるほどです。もう、ふくらはぎが攣るんじゃないかというくらい爪先立って、ようやく小用が足せるという旧式のものでした。日本ではお目にかかったことのない形状です。私(172cm)よりも背の低い高校生たちは、いったいどうやって済ませていたのだろうと、ちょっと不思議発見をしました。
 
そこへゆくと、日本はいい国です。イギリスは、公衆トイレも駅のトイレも有料であることが少なくありませんでした。「世の中、金次第?」悪魔のささやきが聞こえました。
 
イギリスにはトイレマップなるものやトイレアプリなるものがあるといいます。それほど必要性に迫られているわけですが、受益者負担の施設維持費という訳でしょう。公的施設の考え方が、日本とは違うようです。迂闊にも知らずに困った体験をしましたが、「郷に入りては郷に従え」、その文化と歴史と国民性を知った次第です。
 
全くの余談ですが、その昔、作曲家でありピアニストだった羽田健太郎(1949年~2007年)が、オーストラリアで演奏したことがあったそうです。その時の話を「題名のない音楽会」の中だったか、どこかの番組の中で話していたのですが、向こうのやり方で演奏しなければならなくなった時、
「郷(豪)に入りては、郷(豪)に従えって言いますからね。」
といって笑わせていたのを思い出しました。ダンディーでお洒落で博識でいてユーモアを忘れない人でしたが、58歳の若さで亡くなられました。

あんな風に笑顔で楽しく人々と語らえたらいいなと思う理想の一人でした。


※画像は、クリエイター・高梨さんの、タイトル「今日のその辺画像」をかたじけなくしました。「♪猫ふんじゃった」しか弾けない私ですが…。お礼申します。