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No.1027 「手」について思う

20世紀も終わりごろの話ですから、四半世紀以上が過ぎています。
子どもが小学生の時の広報紙に、先生が書いたこんな記事がありました。

 最近は、大事なものが抜けて、余計なものが付くようになりました。
 例えば、「手作り」の料理をせずに、レトルト食品で済ますことが多くなりました。これは「手抜き」です。また、「しつけ」を小さい時から教え込まず、大きくなってから「おしつけ」で育てるのです。
 これでは、子供の成長が心配です。愛情のこもった子育てが何よりも大事です。

そんな内容のことが、過去の学級通信に書かれていました。子育ての難しさは、それ故に楽しいものでもあります。家族ならではの親子の繰り広げる心の波の小さな歴史もあります。
 
さて、レトルト食品は、気密性と遮光性を備えた容器で密閉し、加熱殺菌を施した食品です。この加圧加熱処理のことを「レトルト」というのだと知りました。
 
1968年(昭和43年)に世界初のレトルトカレー「ボンカレー」(大塚食品)が発売されました。キャラクターの松山容子さんはお美しい方でした。私も随分このカレーのお世話になりました。

因みに、「ボンカレー」の語源は、フランス語のBON(良い、美味しい)と英語のCURRY(カレー)が組み合わさった名称とのことでした。「灰色の脳細胞」(優れた頭脳)を持った名探偵ポワロの口癖「BON!」も「GOOD」や「OK」の意味なのでしょうか。
 
カレーの後、次々とレトルト食品参入の企業が増え、米飯類、ハンバーグ、ミートソースなど多種類の商品が開発され、近年では100社を超える企業で500種以上のレトルト食品が生産されているということでした、今後、さらに増え続けていくことでしょう。
 
それは、働き方や生活様式の変化に応じて、人々が積極的に取り入れてきたからです。「使い勝手の良い簡便で有り難い食品」ということでしょうし、調理に危険が伴う老人にとって、救世主のような食品であることは時代が証明しているように思います。便利以上に必要不可欠な存在でもあります。
 
ただ、カロリー計算をしたバランスの取れたレトルト食品や、有名なホテルのメニューのような高価なレトルト食品であっても、やはり、「手作りの料理」の味は子育て世代にとって必要なものだと信じたい気がします。もちろん、状況次第ですが…。
 
息子が結婚披露宴で聞いたという、こんな面白い話を思い出しました。
「ご結婚おめでとうございます!
 好きな者同士の晴れやかな結婚式は、いつ出席してもいいものです。
さて、家庭を作り親になるには、これまでのように『スキ』な気持ちだけで夫婦や家庭が作られ守られていく訳には行きません。
 『テキトー』ではなく、『テを入れ』『テをかける』ことが大切です。そうやって『スキ』から『ステキ』に変化して行きます。
 どうか素敵な夫婦に、素敵な家族に、素敵な家庭にして下さい。」
 
「手」を抜くのか「手」を入れるのか?
人のことは言えません。ちっとばかり考えさせられている今日この頃です。
カッコつけて「手料理二刀流」と洒落てみましょうか?


※画像は、クリエイター・murayama norikoさんの、タイトル「めがね魔女:お料理魔女」をかたじけなくしました。お礼申し上げます。