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No.826 心の憂さを掃きましょう!

「酒は、憂いを掃(はら)う玉箒(たまはばき)」などと言われます。
「酒は、心配事や悩み事などを掃い去ってくれる箒のようなものだ」
という意味のようです。

この言葉の出典は、中国・北宋の頃の政治家で詩人でもあった蘇軾(そしょく、1036年~1101年)の漢詩「洞庭春色」だそうです。その中に、
「應呼釣詩鉤」 応(まさ)に詩を釣る鉤(ばり)と呼ぶべし、
「亦號掃愁帚」 亦(また)愁(うれ)ひを掃ふ箒と号す。
(まさにお酒は、詩を釣る鉤と呼ぶにふさわしく、
またの名を、憂いを掃う玉帚と呼ぶ。)
とあり、ここからあの格言が生まれました。
 
古今東西、酒は人々に愛されてきました。もうずいぶん前のお話ですが、テレビで、「地中海を旅する」番組がありました。その中で、モンテネグロのお爺ちゃんが、
「良いワインは、人に真実を語らせる」
という名言をサラリと口にしました。酒の持つ力や魅力を見事に言い当てています。ひょっとしたら、先人の格言かも知れませんが…。
 
その言葉につられて、ちょっと調べたら、ワインにまつわる名言はこのほかにも、
「お酒に真実あり」
「ワインと秘密は一緒に暮らせない」
「友達とワインは年月によって更に良くなる」
「仲間と酒を飲まないやつは、泥棒かスパイだ」
などという、まことに結構な惚れこみようの言葉が並んでいました。酒は、味方になったり敵になったり、少々(升々?)扱いにくい魂の持ち主でもあるようです。
 
先日、カミさんが親友二人と数年ぶりに仕事や生活の慰労会をしました。私は、心優しき(?)アッシー君です。結構な酔い加減で私の前に表れた三人組は、車中で途切れ目なきマシンガントークをご開陳。したたかにワインをきこし召されたご様子です。ご友人の一人が、
「1,500円で5種類ものワインが飲めるんですよ!安いでしょう?」
と、満足げに自慢げに話してくれました。
 
三人が三人とも、その日の晩餐会が、互いの憂さを晴らし、気分転換になったことを口にしました。車中の甲高い笑い声も、そのことを良く物語っていました。友達はいいものです。

高くないワインでも、人に真実を語らせる魅力があるようです。


※画像は、クリエイター「たてれん■アウトプットでQOLを10,000倍に」さんの、タイトル「『教養としてのワイン』を読んで」をかたじけなくしました。お礼を申し上げます。