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#17 あとよっと

あとよっと。

聞きなれない言葉に思わず疑問符が頭によぎった方が多いはずである。しかしながら、これは決して造語や ”あらよっと”、”あとよっつ” などの綴りミスではない。
ではこんな言葉が存在するのか。捉え方によっては存在するが、この言葉自体に意味はない。

どういうことか。

トヨタ製の自動車に乗っているひとにはわかるかもしれない。車に乗り込んだら外を眺めてみよう、何か見えないだろうか。停車しているほうが見えやすい。ちなみにわたしは助手席で見た。

景色ではない。
目線を自身に近づけてみよう。車内外を仕切るものに何か書かれていないか。そう、自動車のガラスに貼られたシールにある社名『TOYOTA』の反転文字、「ATOYOT(あとよっと)」である。

わたしは初見時、完全ワイヤレスイヤホンのいちブランド『AVIOT(アビオット)』かと思った。普段使っているイヤホンと紐づけてしまうなんて、わたしの脳くんはどれだけ単純なのだろう。電車のガラスには社名や製品名のシールが車内から読めるように貼られていることが多いので、自動車も同じだろうという考えが浅はかだった。

普段わたしたちは衣食住など自身と接点のあることばかり気にして生活しているように思うが、たまには自分の知らない世界にも目を向けることが大切なように思う。思い込みは危険である。
自動車でいえば体の不自由な方の歩行速度を見誤り交通事故に巻き込んでしまうかもしれないし、初見で貧弱に思ったひとが実は筋トレ歴の長い細マッチョだったりするかもしれない。

思い込みを減らすには、#16でも綴ったが挑戦して経験を積むことが役立つと思う。特定のことばかりに取り組んでいると慣れによる油断が生じてしまうが、新しいことに挑戦することで刺激が得られ新たな価値観を得ることができる。いまの自分にない価値観で自身が満たされれば、その分優しいひとになれるし、きっと優しい社会になるだろう。

自身にない相反する価値観に触れ、「あとよっと」に意味を持たせられるようなひとになりたい。「あとよっと」の精神よ、広まれ。

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