私は何者か、501
誰ぞ、彼。
黄昏。
最後の楽園であるかもしれない。そんな、田園の週末の家で、好きな曲を音量いっぱいにして聴く。そのうち、涙が出てきて、つーっと、ほっぺたを伝う。
なにもしない、なんにもされない、関係などと、そんなものは無用、不要、白洲次郎みたいに言ってみる。そして、ただ、ただ呼吸をしている。
気持ちもいつのまにか、平らかになっている。あの、洋菓子を平らかに平らかにして運ぶような、そんな気配りもなく、さほどの努力もなしに平らか。すべてが。
遠くの、誰かに、問いかけることもなく、雨蛙や、小さな羽虫が、時折、アクセントをつける。細やかな夕暮れの雨はトレモロ。ビオトープの蓮の葉に注ぐ。時は、その瞬間のためにだけ衣を開き、そして、我らを包み込む。
夢のような時を、じっと見つめている。
今夜もビールが美味いのである。
ゴーヤーチャンプル。
新玉ねぎのオニオンスライス。
ポテトサラダ。
豆苗の胡麻和え。
焼き茄子。
厚揚げの焼いたの。
グリーンサラダ。
自家製。
何ものにも、代え難し。
月は、出たか。
真上に、あるか。
支えている。
互いを。
わたしは何者か。
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