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私は何者か、485


食べるに窮していたとして、こんな誘惑はなかったし、たとえ、あったとしても、そんな誘いには乗らなかっであろう。
目のまえの、なんだ、金か、美貌か、若さか。永遠の課題に反応などしない。なぜなら、今更ながら、これほど当たり前のことに、驚いたり、ふざけたり、真似たりするなんて、あゝ、はずかしや。いや、それほどでなくても。である。そんなことに負けまい。と。


緩和。


及第。

ここまで来い。と。ばかばかし。私はなにも知りませんと言いながら、それは、すでに逃げ口上。

それでも、なぜか、なぜか、なにかが味方してくれる。

落ちそうで落ちない。

壊れそうで、壊れずにすむのは、なにかのおかげ。

やはり、及第。か。いや、汲々。か。

その位置にあることの、努力なくして、けれど、今の私がある。


努力などしてはいない。


いま、この時も、風の吹き込むドアを、だれかが閉めてくれた。


遮断されて、温かい。


そう、


なにを汲むか。である。




わたしは何者か。


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