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私は何者か、425


いろんな、いろいろな、目にあっても、新しい何かに触れようと、体験し、体現しようと、人は動くのであろうか。己の臆病さに慄くばかり。今日は一体何歩歩いたことやら。その昔、サンフランシスコの中華、チャイニーズドラゴンのフォーチュンクッキーのお話。その、紙の端がしっぽのようで、もう片方の端っこはクッキーの中に収まっている。何が書かれているのか、それがおもしろくて、楽しみすぎて、しまいには私の年齢がもっともっと若くて未成年じゃないのかと、疑われ始めたこと。クッキーの中に埋もれた部分は、それは秘密の入口。フォーチュンよ、あなたは、どこからきたのか。次の朝のモーニングコール。Good mornimg , this is Chinese Dragon, えーっ。サンフランシスコの小さなホテル。そうそう、全然近代的でないお宿で、その分、敷居が低すぎて、でも、若いってことは怖さ知らず。遅くまで近くのバーで飲んで、日本語の授業なんかしてしまって、コンニチワ、はい、みなさんもご一緒に。初めて飲んだマルガリータ。そのグラスの縁の塩の味。テキーラか。ならば、そうそう、竜舌蘭よ。黒い空に伸びやかに尖る葉。遠い昔。


今日は西空に地球照の三日月が見えない。


私は三日月が好きである。

忘れた頃に姿を現し、忘れてはいないよと、囁く。


まっすぐに生きるということは、まるで背中が丸まってしまうほど、大変なことである。


嘯いて。


嗄れて。


やがて、その人にふさわしい、生命の入れものになる。


わたしは何者か。



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