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【フリー台本】隠れ家レストラン シナリオ第一部(男性2 不問1)

割引あり

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【概要】

あらすじ

夢叶えて自分の店をもった料理人のもとに、サラリーマンになった幼馴染が開店祝いに訪れた。
久しぶりの再会に酒を飲みかわしながら、少年の日の不思議な体験を懐かしく思い出す。
それは金木犀の香りがいざなう、二人だけの秘密の思い出話。

情報

声劇台本 3人用
編成   男性2人 性別不問1人
   (少年時代が長いので、男性の配役を女性が演じてもOKです)
上演時間 約40分

短編小説「隠れ家レストラン」を声劇シナリオ向けに再編したものとなります。

全三部中の第一部。
第三部は編成が4人になります。ご注意ください。

登場人物

◆晴翔(ハルト) <男性>
大人時代……二十九歳 男性。 財閥系巨大企業のエリートサラリーマン。
子供時代……九歳。 裕福な共働き夫婦の一人っ子。親の顔色を伺いつつ、基本は品行方正。父親は単身赴任、母親は帰りが遅く、いつも寂しい。
(※モノローグも読みます) 

◆大地(ガイア) <男性>
大人時代……二十九歳 男性。 苦労のすえ、念願の自分の店を持った料理人。
子供時代……九歳。 父親と二人暮らしで、その父親はネグレクトな環境で、遅くまで家に帰ろうとしない。けれど、本人は明るく前向きで、誰とでも友達になるタイプ。

◆令(レイ) <性別不問>
十、十一歳くらいの男の子。自分のことを話さないので、大地ガイアの友達だということくらいしかわからない。歳のわりに大人びた雰囲気

◆ナレーション <レイ役兼>
レイ役の人がナレーション箇所を読みます。
別にナレーション役を立てても大丈夫です。


【本文】


ナレーション
  残暑がようやく落ち着いて、夜風だけは肌寒くなってきた。
  道を歩く人々を見ると、まだ半袖はんそでのシャツを着ている人やジャケットを着込んでいる人が混在している。
  街路樹がいろじゅの色づきはまだまだで、はっきりとした季節を感じられるものは少ない。都会の主要駅近くの街中まちなかとなれば、それはなおさらだった。

  たくさんの店舗てんぽや飲食店がのきつらねる大通りからは少しはずれて、駐車場やオフィスビルが並ぶ一角いっかく。この無機質な街並みを歩いていると突如とつじょ小さな森が現れた。
  森と呼んでしまうのは少し大げさかもしれない。目の前に立ってみると実際じっさいには、木々生茂おいしげる庭、といったところだ。
  オリーブやトネリコにむかえられ、その先には街路樹に使われそうな高木こうぼくえられている。
  今日のように夜におとずれれば、街灯がいとうの光も届かないほど真っ暗だ。
  足元の飛び石が、ほんのりと輪郭りんかくを描く程度にだけ照明が置かれて、それが道しるべになっていた。

  いくつかの飛び石を踏みしめて行くと、目の前にぽつんと、扉が浮かび上がった。とても幻想的な光景だった。
  ただ、少しあたりを観察すればそのタネは単純で、扉だけがライトアップされているので、このように見えたのだ。

  そしてここに来てようやく、この場所の正体がわかる。木製の扉には

  restaurantレストラン hideoutハイドアウト

  と、ったイタリックで店名がられていた。

  鉢植はちうえの金木犀きんもくせいかかえたスーツの男がとびらを開けると、カランカランとベルが鳴った。
  はたしてそこには、カウンター席とテーブル席がいくつかの、こじんまりとしたお洒落しゃれなレストランがあった。
  閉店間際まぎわ、ほかの客はテーブル席に一組のカップルがいただけで、従業員じゅうぎょういんらしき人は、カウンターに立つ三十歳くらいの男、一人だった。


ガイア
 「いらっしゃいま……おう来たか! 久しぶり、晴翔ハルト!」

ハルト
 「大地ガイア、久しぶり! 開店おめでとう!
  ──本当は、オープンすぐにけつけたかったんだけど」

ガイア
 「忙しいらしいな。さすがはエリートサラリーマン」

ハルト
 「そんなんじゃないよ。僕は……歳くった分だけ仕事が増えて、スーツが板についてきただけだ」

 <ハルトは感慨かんがいぶかそうに内装をぐるりと眺める。>

ハルト
 「夢、叶えたんだなぁ……」

ガイア
 「ふふ。まあな。小さいけど、ようやく自分の城を持てたよ」

ハルト
 「お前は本当に、すごいやつだよ。はい、これ、開店祝い」

ガイア
 「へぇ……。キンモクセイ。どおりで甘い香りがただよってきたわけだ。
  でも、こういう時にわたす花って、普通、胡蝶蘭こちょうらんなんじゃねえの?」

ハルト
 「外装や店の名前を見て、僕の見立ては間違ってなかったと確信したけどね」

ガイア
 「ははは。かなわねぇなぁ。ありがたく“森”にえさせてもらうよ」

ハルト
 「いやいや、そんなつもりじゃないって!」

ガイア
 「ちょうどよかったよ。もらわなかったら、そのうち自分で買って植えてたろうから。
  ──さ、こちらのカウンター席にどうぞ」

ハルト
 「ありがとう」

ガイア
 「こちら、食前酒とおとおしです」

ハルト
 「はははっ」

ガイア
 「何がおかしい?」

ハルト
 「いや、昔を思い出すなぁって」

ガイア
 「俺も……毎年このキンモクセイの匂いをかぐと、思い出すなぁ。小学生のときの、あの不思議な日々を。
  ──あれは、なんだったんだろうな」

ハルト
 「うん。僕も忘れようったって、忘れられない」

ハルト(モノローグ)
  それはちょうど今くらいの、秋のはじまりのころ。誰に話したって絶対に信じてもらえない、僕らだけが共有している、秘密の思い出があった。

*  *  *

ナレーション
  学童がくどうからの帰り、もう夕焼ゆうやぞら薄暗うすぐらい時間。ハルトが通学路つうがくろの途中にある公園の前を通ると、ランドセルを無造作むぞうさに投げ出して遊んでいる、数人の小学生がいた。
  ここは、休日になればたくさんの人がつどう、大きな公園だ。
  砂の地面にブランコや鉄棒てつぼう、すべり台やアスレチックなどの遊具がそろう、この”子供広場“がまず東西に一つずつ。
  広い“芝生広場しばふひろば”や木々が生茂おいしげる区画、各種スポーツができるグラウンドやコート、公園をぐるりと一周するランニングコースなどもあった。
  平日の小学生の居場所いばしょは、もっぱら子供広場だ。

ハルト(モノローグ)
 (今日は四年生か五年生くらいが多いなぁ。あ、あの子はおんなじ三年生だ。違うクラスのえぇっと……ガイアさん。
  お母さんが、ガイアさんとはあんまり仲良くするなって言ってたっけ。お母さんが言ったからってわけじゃないけど、わざわざ声かけなくてもいっか……)

ガイア
 「よ! ハルト!」

ハルト(モノローグ)
 (目、ばっちりあっちゃった。あ、こっち来る。)

ハルト
 「……よう」

ガイア
 「帰りか?」

ハルト
 「そう、学童の。ガイアさんはずっと公園にいたの?」

ガイア
 「うん」

ナレーション
  二人が話していると、上級生たちはほうしていたランドセルを背負せおい始めた。そして「俺ら、帰るからな!」とガイアに声をかけると、わいわいと連れ立って公園を出て行った。

ハルト
 「じゃあ、ぼくも帰るよ」

ガイア
 「もうちょっと遊んで行こうよ。どうせ、今 家帰っても、お母さんいないんだろ?」

ハルト(モノローグ)
 (仲良くないのに、なんでそんなこと知ってるんだろう。誰かから聞いたのかな?……あってるけど……。)

ガイア
 「ほら、今ならブランコあいてるし!」

ハルト
 「ガイアさんは帰らなくていいの?」

ガイア
 「学校じゃないんだから“さん付け”やめようよ」

ナレーション  
  ガイアは近くにあったブランコにけて行って、立ちぎを始めた。
  力強く結構けっこうはばでブランコを漕いでいたかと思うと、タイミングよく、サッカーボールをるように片足を蹴り出し、ポーンとくつを飛ばした。靴はえがいてかなり遠くまで飛んでいった。

ハルト
 「すっげぇ!」

ガイア
 「できねーだろ」

ハルト
 「で……できるに決まってるだろ!」

ナレーション
  ハルトはランドセルを置くと、同じように立ち漕ぎを始めた。しかし、まずここで差がついた。
  ハルトは普段、公園などらずに学童から家にまっすぐ帰ることが多い。だから、立ち漕ぎなんて、ほとんどしたことがなかったのだ。
  なんとか振り幅が出てきたところで靴を蹴り出すも、ハルトの靴は、ブランコのさくをわずかに越えたところに落ちた。

ガイア
 「はははは!」

ハルト
 「ちょっと調子が悪かっただけだ」

ガイア
 「どうかなぁ?」

ハルト
 「──やっぱり帰るよ。もう誰もいないし、暗くなってきたし……」

ガイア
 「おう、じゃあまたな。オレはまだ帰らないけど」

ハルト
 「暗くなってから一人で遊んでると、あぶないんじゃない?」

ガイア
 「一人じゃねぇよ」

ナレーション
 ガイアはハルトに向かって手を振ると、子供たちが「森」と読んでいる区画にけていった。

ナレーション
  公園を通り過ぎた先にある高層こうそうマンションの一室いっしつが、ハルトの家だ。一応インターホンを押したが、あんじょう、お母さんはまだ帰っていない。
  ハルトは自分でオートロックの玄関げんかんを開けて、建物に入っていった。
  家のドアを開けてハルトを出迎でむかえるのはくらな部屋と、耳がキンとする静寂せいじゃくだ。急いで玄関の電気をつけて部屋に入ると、すぐにリビングダイニングの電気もつけた。

  綺麗きれいに片付いたダイニングテーブルの上には、『今日はおそくなるので、ごはんをかって先に食べてね。火はつかわないでね』と、何度も使いまわされたメモと千円札せんえんさつがある。

ハルト
 「今日も、でしょ」

ナレーション 
  ハルトは千円札をにぎりしめて一番近いコンビニに行くと、おにぎりやお弁当のならたなの前をうろうろとした。

ハルト
 (コンビニのお弁当、毎日できちゃったからもう、何食べてもおんなじなんだよな。目をつぶって取ったやつでいいか。)
 (──うん、今日はスパゲティか。あれ? 昨日もじゃなかったっけ? 牛丼だったっけ? どれでもいいか。あとジュースも買って。)
 (一年生の時は、好き放題ほうだいに買い物したり、お菓子食べながらテレビ見てるの、楽しかったんだけどな……)


ナレーション  
  次の日の学童帰り、ハルトは少し期待しながら公園をのぞいた。見込みこみ通り、ガイアはランドセルを放り出して、何人かの小学生と走り回って遊んでいる。
  今度は迷わず、夕方の公園に足をれた。 

ガイア
 「よう! ハルト!」

ハルト
 「おう」

ガイア
 「遊んでくよな?」

ハルト
 「なにやってるの?」

ガイア
 「オニゴッコ! オニはあいつ!」

ナレーション
 ガイアが答えている間に、あいつと呼ばれた四年生は すごいスピードでこちらに向かってきて、素早すばやくガイアにタッチした。

四年生(レイ兼)
 「タッチ!」

ガイア
 「あぁ? いまはタイムだろ! しゃべってる時にタッチすんのズリィぞ!」

四年生(レイ兼)
 「タイムなんてないから! 油断ゆだんするのが悪い」

ガイア
 「だぁああ! もう! ハルトもげろよ!」

ハルト
 「え? あ、うん!」

ガイア
 「いちにさんしごろくななはちきゅうじゅう!
  うっしゃ! いくぞ!」

ハルト
 「うわ、ガイア 足、はや!」

ガイア
 「はい、タッチ。次、ハルトオニな!」

ハルト
 「ちょっとまって! いちにさんしごーろく……! ああー! みんなちょっと手加減てかげんしてよ!」

ナレーション
  西の空がオレンジ色を少し残すばかりになり、みながランドセルを手に手に帰り始めたので、ハルトもランドセルを背負せおってその流れで帰った。
  けれどもガイアだけはまた、一人で森の方へと消えていった。


ナレーション  
  ハルトは、習い事がない日はいつも、学童の帰りに公園にってから帰るようになった。
  曜日によって公園にいる顔ぶれは変わるけど、ガイアは必ずいつでもいた。
  学童がない子に聞くと、雨が降って人っ子ひとりいない日にも、ガイアだけは家に帰らず公園に入っていくらしい。
 そして、晴れの日も雨の日も、公園から小学生たちがいなくなると、必ずひとり、森へ行く。

ハルト
 「いつも森で、一人であそんでるの?」

ガイア
 「一人じゃないよ?」

ハルト
 「でも、いつもみんな帰った後だし……あ、東側の子供広場をナワバリにしてる別の小学校の子、とか?」

ガイア
 「どうかな? ハルトは知らない子ってのはたしかだけど」

ハルト
 「何してんの?」

ガイア
 「なにしててもいいだろ? 俺はヒミツシュギなんだ」

ナレーション  
  ハルトはある日、ついに好奇心こうきしんけてガイアのあとをつけた。
  注意深ちゅういぶかく、気づかれないように、木々きぎうしろに身をかくしながら、ハルトはガイアを追いかけた。こうやって友達を尾行びこうして秘密ひみつさぐっているのは、まるで警察けいさつ探偵たんていになったみたいで、最高にワクワクした。
  森の中は夕暮ゆうぐれの子供広場よりもさらに暗かった。
  レンガだたみ遊歩道ゆうほどうには街灯がいとうがあったけれど、ガイアはある地点で、遊歩道からはずれて木々の合間あいまって行った。
  そこも一応は道になっていた。土の地面ではあるものの、草が少なくて、踏み固められたような歩きやすいすじとおっている。
  遊歩道の明かりはすぐに届かなくなった。道をたよりに下を向いて歩いていると、どんと、仁王立におうだちをして待っていたガイアにぶつかった。

ハルト
 「わっ!──びっくりした……」

ガイア
 「尾行びこう下手へたすぎ。それでかくれてたつもりぃ?」

ハルト
 「ヘ……ヘタもなにも、尾行してたつもりも、隠れてたつもりもないし!」

ガイア
 「まあいいや。来いよ。特別に仲間に入れてやる」

ハルト
 「入れて“やる”って……」

ガイア
 「じゃあ帰る?」

ハルト
 「ご、ごめん! もちろんいく!」

ナレーション
  少し歩くと行き止まりがあった。その行き止まりは、がんばればひょっとしたらのぼれそうな高さのがけで、その上も、森になっていそうだった。
  崖のふもとに、古くてがけ屋根やねちかけた小屋があった。
  小屋は、わすられたように手入れのされていない生垣いけがきかこまれ、入り口になりそうなところはフェンスでふさがれている。
  フェンスにはふりがな付きで“立ち入り禁止“と書かれた、風化ふうかした看板かんばんけてある。
  きわめつきに、生垣とフェンスをまとめて囲うように、黒と黄色のしま模様もようのトラテープがはりめぐらされていた。

ハルト
 「立ち入り禁止って書いてるよ?」

ガイア
 「つまり、オレたち以外は入ってこないってことだろ? 誰かきたら秘密基地ひみつきちじゃないじゃんか」

ハルト
 「入る場所ないよ」

ガイア
 「こっから入るんだ。このっぱとフェンスの隙間すきま

ハルト
 「ランドセルは?」

ガイア
 「もちろん、上かられる。
  ──で、こうやって芋虫いもむしみたいにすれば、すきけられるだろ」

ハルト
 「ほんとに……いいのかな……」

ガイア
 「ほら、来いって」

ハルト
 「──う、うん!」


ナレーション
  ガイアは、ぶりのランタンがたをしたライトをつけた。かこいの中の小屋は、今は使われていない倉庫そうこだった。
  中には、れたシャベルや穴のいた金属バケツ、毛が半分ないホウキ、さわったらくだけてしまう風化ふうかしたポリペールなどのガラクタがたくさんあった。
  ずっと前から忘れられ、放置ほうちされている場所だったのかもしれない。
  ただ、そのガラクタたちはきちんと整理せいりされて倉庫のすみに置かれていた。
  完全には閉まらなくなったとびらわりに、他の道具に比べると真新まあたらしいブランケットが、のれんのようにがっていて、ゆかにはレジャーシートがしかれていた。

ハルト
 「すっごい……! 秘密基地だっ!」

ガイア
 「秘密基地なのにすわる場所もなかったから、オレたちがちょっと片付かたづけたんだ」

ハルト
 「オレたち?」

ガイア
 「もう一人 仲間がいるんだ」

ナレーション
 ガイアが言ったちょうどその時、ガサガサと落ち葉をおとをがしたので、彼は注意深ちゅういぶかく耳をかたむけた。フェンスもガシャガシャと音をたてた。

ガイア
 「合言葉あいことばは?」

レイ
 「森のなか」

ガイア
 「入ってよし!」

レイ
 「はーい……て、え? 誰?」

ガイア
 「友達のハルト、こっちは友達のレイ

レイ
 「ああ、そう……」

ハルト
 「おじゃま、してます」

ハルト(モノローグ)
 (本当に知らない子だ。四年生か、五年生くらいかな?)

レイ
 「ガイアの友達なら文句もんくないよ。ようこそ、ハルトくん」
 「でもガイア、もうこれっきりにしろよな。あんまり人数増えると、秘密にならないぞ」

ガイア
 「大丈夫、ハルトだけだ」

ハルト(モノローグ)
 (ぼくだけ、か。ちょっとうれしいな。)

ハルト
 「秘密基地ではいつも何して遊んでるの?」

ガイア
 「色々だよ。最近ハマってるのは料理だ」

ハルト
 「料理? こんなところで?」

ガイア
 「そう! この大きな葉っぱがおさら。で、こうやって泥団子どろだんごを作って置くだろ? 仕上しあげにこっちの葉っぱやんでおいた花なんかをいい感じに置いて……」

ハルト
 「なーんだ。料理ってママゴトのことか」

ガイア
 「は? ママゴトじゃねーし」

ハルト
 「だって、これじゃあ女子や幼稚園児ようちえんじの遊びと一緒じゃん。秘密基地でやることってもっとさ、こう、冒険ぼうけんの計画とかさ」

ガイア
 「この秘密基地ではな、そんなこと言えなくなるような、すごいことが起きるんだよ」

ハルト
 「すごいことって……」

ハルト(モノローグ)
 (だってあとは、この、料理と主張しゅちょうするどろと葉っぱのかたまりを「はい、がれ」として、差し出された方は食べる真似まねをするくらいしか、やることが残っていないじゃないか。)

ガイア
 「はい、ハンバーグ。召し上がれ!」

ハルト(モノローグ)
 (え? ほんとにこのママゴト続けるの?)

ハルト
 「う、うわあ、おいしそう……」

ナレーション
  葉っぱを受け取ったハルトは、あれ? と目を見開いた。
  いつの間にか手に乗っていたうす素焼すやきのお皿の上では、ファミリーレストランで出てくるようなハンバーグとつけあわせの野菜が、おいしそうな湯気ゆげと香りを立てていた。

ハルト
 「え? へぇえ⁉︎」

ガイア
 「ちょ、ちゃんと受け取れよ! セぇぇーフ! 全部 落ちるとこだった!」

ハルト
 「どうなってるの、これ! 食べれるの?」

ガイア
 「もちろん、食べれるよ。ほら!」

ハルト
 「うっそ……。その、いまくちに入れた ポテト? さっきまでネコジャラシだったやつ……」

レイ
 「じゃあ僕は、今日はスパゲティがいいな」

ガイア
 「かしこまりました! 少々おまちください。えーっとネコジャラシのくきをくしゃっとめんみたいにして、その上にをのせて……」

ガイア
 「はい、スパゲティです!」

レイ
 「ありがとう!」

ガイア
 「おう! じゃ、自分のハンバーグも作るわ! あ、はしはこれな。コンビニのやつ」

ハルト
 「お箸は、普通なんだ……」

ガイア
 「あー! はらへった! めないうちに食べようぜ!」

ハルト
 「本当に、食べて大丈夫?」

ガイア
 「オレもレイも、食べれてるだろ? うまいから食ってみろって」

ハルト
 「うん……。わ……お、おいしい!」

ガイア
 「だろ?」

ハルト
 「ガイアは魔法使いなの?」

ガイア
 「まさか!」

ハルト
 「じゃあ、レイさんが?」

レイ
 「僕も魔法使いではないよ」

ハルト
 「それなら、これはなんなの? こんなヒカガクテキなこと、起こるわけないじゃん」

ガイア
 「オレたちもよくわかんないんだよ」

ハルト
 「わかんないのに食べてるの⁉︎」

ガイア
 「オレ、けっこう遅い時間まで公園いるだろ? いつの間にか友達で、秘密基地で遊ぶようになって、はらへったなーなんて話しながら遊んで、
 レイもそうだったんだけど、はじめは名前も知らないままで、やることもないから、葉っぱの上にてきとうにママゴトみたいにそのへんの草乗っけて遊んでたら、それが本物になったんだよ」

ハルト
 「──え? どういうこと?」

レイ
 「ははは! ガイアの説明へたくそ! つまりね、僕たちは遅くまで公園にいるもの同士どうし、友達になって、この秘密基地で遊ぶようになったんだよ。
 ある時どうにもお腹がすいて、気休きやすめにママゴト料理をしていたら、本物に変わったんだ。今見た通りにね。でも、この不思議な出来事できごとは説明できないの」

ハルト
 「ガイアの説明にくらべたらわかりやすいけど……けど、わけわかんないことに変わりはないなぁ」

ガイア
 「わからなくてもいいじゃん。ここにあったかくておいしいご飯があって、友達と一緒に楽しく食べてるんだ。それって、すっごくいいことだろ?」

レイ
 「そうそう、ちょっとした不思議なんて、なぁんも気にならないよね!」

ハルト
 「……うん、このハンバーグ、今まで食べた中で一番おいしいかも!」

   二部につづく


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