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12.三題噺「参考書、UFOキャッチャー、文房具屋」

 放課後に、僕は同じクラスの女の子、同クラさんの案内で隣町の文房具屋さんに来ていた。

 本屋も併設されていて、本を見に行っていた同クラさんが参考書を手にして僕のもとへやってきた。

「ありがとう。好みのシャー芯見つかったよ」

「そ、そっか。それならよかった……」

「近所にはなかったからどうしようと思ってた。この辺に住んでるんだね」

「う、うん。帰り道によく立ち寄る、かな?」

「わざわざ付き合ってもらってごめんね」

「つ、付き合って!?」

 何かびっくりすることでもあったかな?

「何かおかしかった?」

「あ、いや、そんなわけないよね……。大丈夫だよ、私も手にとって見てみたい本があったから」

 同クラさんは若干慌てて足をもつらせながら会計を済ませて、文房具屋を出た。

「家の近くまで送るよ」

「あ、ありがと……う」

 消え入りそうな声だけど、体調悪いのかな、と思って同クラさんを見ると目があった。

 ものすごい勢いで顔を逸らされた。
 ちょっとショックだ。

 でも、体調不良ではないのかな?

「あ、かわいい……」

 同クラさんの視線の先にはUFOキャッチャーが。
 中にはふわふわもちもちの掌サイズのぬいぐるみがある。

「やってみる?」

「え、でも私ああいうのやったことないから…」

「僕、わりと得意だから」

 100円玉を入れて、入れて、入れて……。

 結果は惨敗だった。

「大丈夫! 落ちそうなところまで来たからあと少し!」

 同クラさんは、わぁ! とか、おしいっ、と終始合いの手を入れてくれて、はしゃいでテンションが上がっている。

「あとは私が頑張るね!」

 同クラさんは、よしっと気合を入れた。

 アームは掠りすらせず、ぬいぐるみはミリも動かなかった。

「ダメだったね……」

「うん……」

 僕と同クラさんは肩を落とした。

 財布の中はすっからかんだ。

「でも。初体験が君とできて楽しかった」

 見惚れるほど綺麗な笑顔の同クラさんが、放課後の夕日を背景に僕に手を振る。

「ばいばい。また明日」



作者です。
三題噺を書きました。
題目の選定は以下のサイトを使用させていただきました。
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