見出し画像

「ダイバージェント」セルフライナーノーツ 〜まどろみながら行くのだ編〜

M1 まどろみながら行くのだ

オープニングトラックは最後に作って最後に録音した曲です。
アルバムの始まりなので、フェードインの仕方に気を使いました。
庭で録音したコオロギとオケラの鳴き声に癒されていただければと思います。(高音域でビー!って鳴いているのがオケラです)
その後に続く「小さな夢を」というリフレインは今作の最後の曲、「人魚」のサビと同じフレーズになります。

70年代のシティポップ風な曲を作って、それをピッチダウンし、ボーカルを歌い直すという流れで録音しました。
そのおかげでベースの低音がとてもパワフルになっております。

Lo-Fiヒップホップをよく聴いていた事もあって、全体を通じてそんな音作りになりました。
リズムとキーボードはほぼ同じフレーズをずっとループし続けています。
リズムトラックはvolca sampleを打ち込んで、iZotopeのプラグインエフェクト「Vinyl」(音がアナログレコードのような質感に変化する)で汚しました。
このプラグインは今作の色々なところで大活躍していて、この曲のアコースティックギターの音色もこのプラグインによるものです。
戦前ブルースの様なひしゃげたギターの音でとても気に入っています。
くすんだキーボードのループはCASIOの玩具キーボード、SA-46にKORGのmonotron delayを通した音。
この音もなんとも言えない煙たさがあって満足しています。

作曲については手癖を排し、なるべく1音1音気を配って作曲してみました。
いきなりサビで始まりますが、「小節頭スタートの半音階を含む滑らかなメロディ」→「小節頭から一拍溜めてスタートする最高音を含む跳躍メロディ」を2回繰り返す形で組み立てました。
サビ直後のフッフーはペイヴメントです
ブリッジ部分の少し静かになるところのメロディは5、6年前に作ったデモスケッチから持ってくる事にしました。

この曲の歌入れにはあまり良い思い出がありません。
高い音域が上手く歌えずに20テイク以上重ねた挙句、くたびれてしまって全部ボツにしたり。
ご近所に住むミュージシャン、mushicさんに歌の手ほどきを受けたりしてなんとか録音を完成させました。
mushicさんにはこの場を借りてお礼申し上げます。
歌に加えたショートディレイのエフェクトは気に入っています。

歌詞については、コロナ禍で荒れるSNSを眺めていて感じた事をそのまま綴りました。
どこかの誰かの言葉をそっくりそのまま拝借して勝ち誇るような人間にはなりたくない、という自分への戒めです。
確りと自分で考えて、自分の立場で、自分の言葉で話ができる人間でありたいものです。
本当はあまり社会を風刺するような柄ではないのです。
私には珍しいタイプの歌詞です。

結果としてとても良い雰囲気のオープニングトラックが出来たと思っております。

次回は2曲目、「雨が聴こえる」について語ります。

リリースページはこちら
AppleMusicはこちら
Spotifyはこちら

ではでは。

オケラ2号

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?