見出し画像

第5回:那瀬ひとみ(声優)「自分の好きなものに関わりながら長い人生を生きていくために」

2019/10/23(水)配信

エンタメ調査室は、毎週水曜日更新のポッドキャスト番組です。ゲーム、音楽、スポーツ、アニメなどエンタメ業界で活躍する方々をゲストにお招きして様々なお話をお伺いします。

パーソナリティ:大木康平(@Unaggy

制作・執筆:藥師神豪祐(@hell_moot

ゲスト:那瀬ひとみさん(@nase1204) / 声優・ライター(奥村ひとみ名義)

ナラティブの機能(差別化要素/価値の源泉)

2019年秋、周囲を見渡すと「ビジネスモデル」「テック」「ナラティブ」の3軸に戦略を持つプロダクトが人の手に渡りやすくなっています。

Instagramで世界観に触れそれまで知らなかったブランドの洋服を買ったり、Twitterで流れてきた新しいアプリをDLしてみるなど、消費者によるプロダクト選択の方法や入口が、ここ10年を見ても明らかに劇的に変化しています。この傾向は、大規模なビジネスだけでなく、個人によるビジネスやエンターテインメント分野の活動でも変わりません。

なにをキャッシュポイントにするか(なにを無料にするか)やどんな商流にするかといった「ビジネスモデル」構築。これまでできたことを効率化したり、これまでできなかったことを可能にする「テック」の導入そして「ナラティブ」構築。

これら3軸のうちナラティブは、機能そして価格についての差別化競争が一段落した現在、プロダクトの差別化要素ないし価値の源泉として特に重要になることは繰り返し指摘されています。消費者の素朴な実感としても、どのような歴史を持っているのかどういう人たちが作っているのかなどを知ることがプロダクトへの愛着につながることは腑に落ちるところです。

そんな価値の源泉である「ナラティブ」を見つけ出すことは、会社であれば、これまでもブランディング部署やPR部署などで行われてきました。プロダクトに関係する組織内のあらゆる情報を集めて編集して表に出す役割は、どの会社でも重要なものとして認識されています(最近では、例えば、採用関連サービスのWantedlyを自社プロダクトのナラティブを表現する場として用いる例が増えているように思われます。)。

個人として活動している場合も、これまでの仕事のポートフォリオを自分のHPに掲出することの重要さは繰り返し指摘され、今では幅広い職種のフリーランスがこれを行い始めています。しかし、他者の目で引き出されたナラティブを語る機会はあまりなかったように思われます(これは前回記事の整理でいえば、「芸能事務所」に所属するのではなく「エージェント」型で活動する場合には、特に注意を払う必要がありそうです。)。

那瀬さんは番組の中で、発言をカッコよく見せる仕事としてライターの価値を再定義しています。ライターは、価値の源泉である「ナラティブ」を増強する決定的な役割を担うことができるのではないでしょうか。特にインタビューライターは、文意を維持したまま語り手の発言を整える編集者でもあり、その役割は一般に思われている以上に広いです。

エンタメ調査室の主眼も、様々なプロフェッショナルが持つプロダクト(会社・プロフェッショナル自身・作品)の普段は日のあたりにくいウラカタ部分に光を当てることにあるため、非常に共感のできる指摘となりました。詳しくはSpotifyでお確かめください。

ふとした出会い

声優として活動されていた那瀬さんがライターを始めた経緯も、非常に興味深い内容でした。世界をつくるのは徹頭徹尾「人」だと思わせる内容でした。

きっかけとなったプロフェッショナルの方がかつて塾講師をしていたというエピソードは、同じく元塾講師の第2回ゲストの中村鮎葉さんの持つ周囲への影響力を思い起こさせるものでした。エンタメ調査室も、そのような出会いの場になれるようこれからも運営を続けていきます。

ナラティブをブーストする

価値の源泉であるナラティブを引き出す。ナラティブが不足していれば、プロダクトのビジョンに合ったファクトを一歩一歩積み上げナラティブを構築していく。これからのビジネスはさらにそのようにして進んでいくでしょう。ナラティブをブーストする役割を果たす存在として、ライターとしての那瀬ひとみ(奥村ひとみ)さんの今後の活躍が楽しみです。また、これにとどまらず、声優やフルート奏者など、今後も広がっていくであろう様々な活動も追いかけていければと思っています。

エンタメ調査室としても、今回はそんな那瀬さんのナラティブに光を当てる番組を作ることができ大変うれしく思っています!

(文:藥師神豪祐(@hell_moot))


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?