【3ワード物語】馴れ馴れしい、敵対勢力、ウォシュレット
ランダムに選んだ3つの単語で物語を考える。
本日は、、、
『トイレットペーパーのメッセージ』
「馴れ馴れしくしてくる奴らを信用するな。過去のマークより」
トイレットペーパーに書いてある自分の字で書かれた自分宛てと思われるメッセージ。
マークは首をかしげ、トイレの個室から出る。
手を洗い、外に出ると、サングラスをかけた男が話しかけてきた。
「よー、マーク。気分はどうだ。といっても、俺のことわかんないよな」
マークは軽く手を振り、無視していこうとした。が、その男はついてくる。
「おいおい、トイレットペーパーのメッセージ見なかったのか??」
馴れ馴れしくしてくる奴らを信用するな。というメッセージを思い出した。一体なにが起こってるのかわからないが、とにかく過去の自分の言っていることを信じるしかない。マークは走り出した。
「おい!やばいぞ!!全員マークを追え!!」
サングラスの男はトランシーバーに叫ぶ。
その瞬間、一台のワゴン車がマークの目の前に止まり、マークを車内に引きずり込んだ。
「まずい!あのワゴンは敵対勢力のやつだ」
マークは口を塞がれ、手足をロープで縛られた。そして、ポケットに手を入れられ、丸い金属の物体を奪われた。外では、ワゴン車を追って何台もの車が走っている。サングラスの男はトイレの前で頭を抱えている。
「なぜだ!トイレットペーパーのメッセージを目にしなかったのかもしれない。だから、このやり方は危険だったんだ」
国家を揺るがすほどの威力を持つ小さな兵器、SWC。この兵器の受け渡しに際し、民間人の協力が必要だった。しかし、作戦の内容を知った民間人には任務の最後に記憶を消してもらう契約を交わす。その代わり、多大な報酬を得られる、という危険な仕事をマークは受けたのだった。
サングラスの男は、トイレに入った。
記憶を消すために使った装置がこのトイレのウォシュレットだった。
ウォシュレットの水圧の刺激で、記憶が消える仕組みになっている。
つまり作戦はこうだ。マークはSWCを入手し、トイレに入る。ウォシュレットで記憶を消す前に、トイレットペーパーに最後の任務、軍の関係者にSWCを渡す旨を書く。そして記憶を消し、メッセージを読み、SWC(本人はこれがなんなのかはもう記憶にない)を軍の人間に渡す。
サングラスの男は、トイレットペーパーホルダーをみた。しっかりとトイレットペーパーにはメッセージが書いてある。しかし内容が変だ。
トイレの床をみた。
トイレットペーパーの破片が落ちている。
その破片にも、メッセージの一部が書いてあった。
「未来の自分へ
お前はある事情で記憶がなくなっている。少しずつこの世界に馴染んでいくだろう。銀行にはたんまりと貯金がある。一つ頼みがある。トイレを出て一番はじめに話しかけてくる奴にポケットに入った金属の球体を渡せ。そして、何も無かったように歩き出せ。それ以外の」
記憶がなくなる境目。ウォシュレットの衝撃で、トイレットペーパーをちぎってしまったのかもしれない。マークはこの部分を読んでいなかったのだ。
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