【３ワード物語】寝ぼけ、ほうれん草、怪獣映画

ランダムな単語３つを用いた物語を考えるコーナー。
本日は、、、

「ランダム単語ガチャ」より

『勘違い』

女優、小松菜奈のモノマネ芸人「ほうれん草奈」という女がいた。小松菜とほうれん草が似ているからといって、なんとも語呂の悪い芸名をつけたもんだ。

そうはいっても、小松菜奈に似ているくらいだから綺麗な見た目をしている。有名人の集まる立食パーティーなんかにお呼ばれすることもある。

あるとき、パーティーの終わりごろ、酒に酔って寝ぼけ眼のとある映画監督に声をかけられる。この監督、世界的にもヒットした映画を手がけたこともあるほどの名の知れた人物だ。

監督はどうも寝ぼけており、ほうれん草奈を小松菜奈と勘違いし、
「今度映画に出てほしいんだ」
と話し出す。
勘違いに気付かぬまま、2人は少しの間、話し込み、監督は連絡先を聞く。

数日後、ほうれん草奈のもとに電話がかかる。
「この間の映画の件だが、今度しっかり話しあいたい」

待ち合わせの場所で2人は出会うと、監督はようやく誤ちに気づく。しかし、言い出しにくいので、その日はとりあえず今進行中のSF超大作の話をした。ほうれん草奈が「私なんかでいいんですか」としきりに聞く度に、監督は汗をかく。

後日、監督側より正式に連絡が入る。監督の勘違いがはじまりではあったが、ほうれん草奈は主役を演じることになった。

そして、時は経ち、撮影初日。
緊張しながら撮影現場の廊下を歩いていると、小松菜奈にすれ違った。遠くからスタッフたちの大きな声と拍手が聞こえる。
「ヒロイン役の小松菜奈さんでーす！！」

ほうれん草奈は困惑した。
困惑しながら楽屋の扉を開けると、
そこには怪獣の着ぐるみが置いてあった。