【3ワード物語】チワワ、おめでとう、性癖
盛り上げるだけ盛り上げて、さっさと散っていく。お騒がせなヤツですね。桜ってのは。
ランダムな単語3つを用いた物語を考えます。
本日は、、、
『犬』
「おめでとう、、、」
ニュースをみながら吉岡はつぶやいた。
吉岡は夫婦でペット屋を営んでいる。
コロナ時代からペットの人気は高まり、忙しくしている。ある日、店の奥で妻が騒いでいるのが聞こえた。今日は、ある男が面接を受けに来ていた。
「採用するわけないじゃない!!出ていって!」
妻が大声を上げている。
吉岡は、応接室に向かう。
「どうした、どうした。そんな言い方はないだろう。それに今は人手も欲しいんだ。どんな理由か知らないが断ることはないだろう」
妻は説明する。
「違うの。この男、、、」
「お願いです!ここで働かせてください」
男は頭を下げた。
「礼儀正しい方じゃないか」
「違うの!!この男、店員として働く気じゃないわ」
「.........??」
この男、四宮には、小学校から大人になる今までずっと恋心を寄せる高橋さんという女がいた。
高橋さんは心優しい人間だが、執拗に迫ってくる四宮に困惑していた。
四宮は、高橋さんが迷惑に思っていることには気付かず、時折勇気をだして声をかけてみたり、家まで付けてみたりしていた。
そんな四宮には許せぬ仇がいた。
高橋さんの飼うチワワだ。
一日中、高橋さんの膝元に居座り、鼻をぺろぺろと舐めるチワワだ。
「―というわけで、私を犬として働かせてください。もう時期、あの忌わしいチワワも寿命を迎える頃です。次の犬に選んでいただくべく、高橋さんの家の近くのペットショップで待ちたいのです。高橋さんの犬になりたいのです!!!」
吉岡は警察を呼ぼうかと思った。
しかし、なんだか気の毒に思い、丁重にお断りした。
妻は怯えて立ち上がることさえできなかった。
数日後、盗難で捕まる四宮の姿がニュースに映っていた。
連行される四宮の顔は、満面の笑みであふれていた。
舌をはぁはぁと出し、ヨダレをたらしていた。
あの面接の日、高橋さんを心配に思った吉岡夫妻は高橋さんの家を訪ねた。
実は、高橋さんは吉岡夫妻のすぐ近所に住んでいた。
「ごめんなさいね、忙しい時に。なんでもないんだけどね、ちょっと、最近物騒だから高橋さんどうしてるかなと思って」
「まぁ、ご心配くださりありがとうございます。大丈夫ですよ。何しろ去年から私、警察官になったんです」
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