見出し画像

PTAを現状に合わせて整えたこと

SESSION富山のキックオフセミナーを先日行いました。そのあとの交流会で思いがけず、黒部、魚津のPTA役員さんとの話が盛り上がり、木下斉さんの記事でもPTAに触れられていたので、うちの小学校でやったことを書いてみます。SESSION富山の記事は推敲を重ねたいので、こちらからやってみます。

ちなみに、滑川市でも都市経営プロフェッショナルスクールに市役所の職員を派遣することが決まりましたが、地域に何かしらアクション起こしたい方は木下さんの著書を読み、note購読されることをお勧めします。「なぜ」の部分を明確に言えるようになると思います。「どうやるか」より大事だと思います。「誰とやるか」はもっと大切ですが。


小学校PTA役員になって8年目です。

私には中3、小6、年長と三人の子どもがいます。長男が幼稚園にいるときに保護者会の会長をしていた関係から、小学校入学と同時に幼稚園時の前会長からPTA役員にスカウトされて、断れずに副委員長の肩書をもらうことになりました。そこから今までずっと役員をしています。今も小学校にいる保護者の中では最長老(笑)じゃないかなと思います。

どれだけの会議をすればいいの?

ほぼ月1で3つくらいあった委員会の事業の進捗を共有する2時間の会議、1年目はまじめに出たと思います、多分。そこでは背景、目的、実施内容とどこかの団体でよく見た議案書をつくり、事業が終われば反省点と申し送りを報告するどこかでよく見た形の会議をされていました。お祭りの巡回やプール監視などは各学級から出される方々の配分をするだけの会議もありました。その頃は妻もパートタイマーで子供も2人だったので夜会議に出ることは苦痛ではありませんでしたが、多いなーと思っていました。

3人目の誕生、変わる状況

長男が1年生の3月、妻が切迫早産で入院することになりました。3男の予定日は11月半ば。二人目も切迫になったので覚悟はしていましたが、今回は長い入院生活となりました。たしか10月までの半年くらいを父と子供2人で生活するという生活をしていました。夕飯とかは自分の実家が近いのでジジババに頼りながらどうにかこうにか暮らしてました。そうなると夜の会議なんかは当然出れません。会議に出れない旨を伝えて、仕事の少ない会計監査にしてもらいました。このころから子供との時間を何よりも優先するようになってきたと思います。

4年前に会長になる。

2020年にコロナにより学校生活も大きな制限を受けました。PTA活動もほとんどを中止、縮小し私の前の会長さんは難しい判断をされ続けておられました。そして、2021年に私が会長になりました。個人的にはこのころには既にこれまでのPTAのやり方は人数減少から限界に来ているなと思っていました。

強制は存在しないはずのPTA

うちの校区には32町内、地域がありそのうち児童がいない町内は8町内ありました。また児童が1~2人だけの町内もあり、資源回収への協力を断られることが2019年くらいから出始めました。下の絵でも書いていますが5年で10%以上世帯数が減っているのです。人数が減って、仕事が減らなければ残っている人に負担が増すのは明白です。一人しかいない町内は同じ仕事を6年間ずっと続けなければならないのです、そりゃ辞めたくもなるよ。PTAは建前上ただの任意団体なので、強制参加はありえませんが、人口が増えていた時代のやり方を踏襲していると今後はこういった強制となりえる状況が増え続けていきます。そこで就任するタイミングで下のお知らせを配布しました。

後押ししていただいた校長先生

PTAやめよう! という学校もYAHOOニュースでよく見るようになってきました。私もなくなってもいいかな派なんですが、いきなりそこには突撃せずに、私はまず仕事の見直しから始めました。
このような変更は人によっては好まれない変化です。ただこのときの校長先生は変化することを許容してくれる方だったので、学校と相談しながら進めることができました。変化を好まない校長先生だったらならば今のPTAにはなっていなかったと思います。だれとやるか、大事です。

会長になって行ったこと

やっていったことを下にまとめました。ん~リストラしてますね。大事なのは順番と、こまめに保護者の同意を取っていくことです。1年目で全部してたら失敗していたでしょう。縮小するときも新しいことができるような余力を作るようにすることが良いと思います。うちも役員の負担が減ったので起業家教育を作ることができました。

1年目(2021) 仕事の見直し

  1. 人手のかかるベルマーク集め、大人のための交流会を義務的な仕事から外し、やりたい人に委ねる。(結果誰も実施しなかった)

  2. 人員募集を紙ベースからインターネットフォームに変更

  3. クラウドサービスを使用し、データの共有化、会議の縮小

2年目(2022) 組織の見直し(実験)

  1. 役員を会長の一本釣りから立候補制へ変更(役員数24人→3名に)

  2. 役員数に応じて行う事業を縮小(資源回収を取り止め)

  3. 12月にPTAに関する全保護者向けアンケートの実施

3年目(2023) 組織の見直し(本番)

  1. 会長、副会長等役職名を役員に統一(定款変更)

  2. 学級委員の仕事を全保護者からのボランティア募集に変更(広報紙以外)

  3. 12月にPTAに関する全保護者向けアンケートの実施

  4. 5年生向けの起業家教育「自分でつくる商売演習」を開始

4年目(2024) 引継ぎ

  1. 保護者向けの書類など代表となっていた名前を次の方へバトンタッチ

無事引き継げました!

こうやって変更していくと、私だから維持できてるんでしょう。という意見もいただきます。変化している最中は変われませんが、そもそもクラウドサービスを使ったりそれまで属人化してきた業務引き継ぎなどを、だれでもすぐにできるよう可視化しているので、スムーズに今年から次の人にバトンを渡せます。引き継げたので、こうやって自分のしたことをまとめることができました。クラウドサービスはSNSのグループなどでやりとりもあるかもしれませんが、なるべく操作が単純で資料が流れて行かないサービスをお勧めします。

無償×公平×合議×正義の視点で見ると

一番上の木下さんの記事で書かれている観点から私のしたことを分析したいと思います。

無償ということ

PTAの会費、何に使われていますか?ほとんどが子供達のために使われていると思います。本来、学校の備品などは義務教育なので教育委員会が準備する必要がありますが、まぁ行政予算は過去の慣例で算出されますから名古屋市みたいな問題が出ない限りPTAの予算から出すのもやむを得ないかなと思います。
ただね、PTAって「できるときに、できる人が、できることをする」団体だと思うんです。私はやり方は都度都度調整し、時には妥協しますが、根元にある想いは絶対に妥協してはならないものだと思っています。だから有償サービスを使わないとできないことはやめてしまう方がPTAとしては自然なやり方だと思います。有償だと今後サービス料金値上げして、会員数減るので財政負担大きくなる一方になりますよ、その分子供達にしたかったこと減りますよ?

公平であること

考え方変えましょう!こことっても大事だと思います。
これまでは事業をしなければならないから負担を公平にするように組織があったと思います。でも私みたいに妻が入院したりした状態では負担が公平になることは絶対にありえません。
参加するチャンスを公平に。
ボランティアを募集した後のアンケートで「一部の方に負担が出ているようで申し訳ない」という意見がありました。「できるときに、できる人が、できることをする」の原則があるので、申し訳ないと思う必要はないのです、やってくれてありがとう。だけで十分なのです。そもそもプール監視など、学校行事へのヘルプは平日に行われますから、仕事の都合が優先するのはしょうがないものなのです。

合議であること(誠実であること)

ちょっと付け足しますが、これもPTA活動には大事な要素だと思います。会長になって拙速に変化したい気持ちもあると思いますが、振り子のように変化には必ずもとに戻ろうとする振り返しがでます。急ぎすぎるとその分振り返しが大きくなるので、一歩ずつ合意を取りながら進めることをお勧めします。そしてアンケート結果での意見や役員が考えていること、悩んでいることを会員にも伝えながらすすめることで変化させる意図を共有することができます。

正義であること

子供の成長を助けるために「できるときに、できる人が、できることをする」PTA。ここは会員であれば共通できる部分です。ここだけを大切にやり方や組織はその都度その都度に合わせて調整できるもの。と考えれば芯を外さずに人口減少など状況の変化に柔軟に対応できると思います。

PTAを変えてみて

今年の総会はもう終わりましたが、保護者の方を見ているとポジティブにうなずいてくれる方が増えたかなと思います。資源回収をやったらどうだろう?という意見も増えてきたので、もう少ししたら自発的に復活していくんじゃないかなと思っています。最近、市内他校の方からPTAなくしたんでしょ?とか、仕事減らせば保護者喜ぶでしょ。とか聞くようになりました。

大事なのは自分から参加したいと思ってもらえてるか

ここまで読んでいただけた方には伝わると思いますが、なくそうとは全くしていません。むしろこの先もPTAをやっていくために調整をしているだけなのです。そして義務でも仕事でもないことを強制させる意味をトップは考えましょう。参加してくれる人を喜ばせられない主催者のイベントが楽しいわけないです。縛りをなくせば壊れると思うのは、あなたがPTAを楽しいと思っていないからです。誰もがさっさと辞めたいとわかっているからです。ネットニュースでPTA問題があふれる時代なのですから、誠実に状況に向き合って、想いを強く、やり方はしなやかに楽しんでいきたいですね。

この先は猛毒なので、どうしても読みたい方だけお進みください。私なりになんでPTAや町内会など地域の団体が全国共通の問題を持っているかの原因を予想しています。文字数も大してないので、ここで終わっても大丈夫です。猛毒だぞ!注意したからね!!地域で言ったら危険人物認定されるからね!

ここから先は

1,238字

¥ 300

この記事が参加している募集

仕事のコツ

with 日本経済新聞

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?