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20時を超えて働く人たちがいること。

こんにちは。大久保です。
ライター、小説家。そんな肩書きを目指しているけれど、普段は商業施設を運営する会社で働いています。

今回は商業施設で働き、様々な店舗と関わる身として、noteを書きました。

今の日本の現状で「20時」という境界線に関係なく、働き、社会を支えている人たちに目を向けて欲しい。そんな想いです。


20時というボーダーライン

1月7日、緊急事態宣言が再発令されました。

ニュースで散々報道がされていますが、宣言を簡単にまとめると

・20時までの飲食店の営業時間短縮。
・酒類の提供時間の制限(11〜19時)
・宅配、テイクアウトは対象外
・20時以降の外出自粛

という内容です。前回とは異なり具体的な時間を設けた方針でした。詳細は内閣官房HPに載っているので気になる方は一度読んでみてください。

この宣言を元に、飲食店舗を含む商業施設も対応することになりました。

今回のポイントは「20時までの飲食店の営業時間短縮」です。しかし、それ同時に「20時以降の外出自粛」という点も考慮する必要がありました。

商業施設の立場からすれば、物販ショップの時間短縮は記載がないものの、外出自粛方針が同時に出たことで「店を開けていても意味がないぞ」と言われているようなものでした。

検討段階ですでに20時というキーワードが出ていたため、一部の商業施設は宣言の発表前から「全館20時閉店」を公表していました。これは従業員の安全も考慮しての判断だと思います。そして一つの施設が「20時閉店」と決めたことで、それに続く施設もあったはずです。

様々な選択肢があると思います。何が正解かは分かりません。

外出自粛を言い渡されている中で、服を売るのか、宝石を売るのか。それくらい極端に考える人もいたでしょう。

そもそも20時という区切りに関係なく、外出は自粛した方が良い。それを考えれば営業も自主的に控えるべきなのか。しかし補償など全くなく、少しでも店を開けなければ生活していくことができない。

たくさんの意見があったと思います。
たくさんの正論があったと思います。

結果的に、ほぼ全ての商業施設・店舗が20時閉店という形になりました。


それでも社会は動いている。動かしている人たちがいる。

20時閉店の是非について何か言おうとは思いません。コロナをこれ以上感染拡大しないためと、生活を続けていくための両方を考えれば、政府の方針の中で営業をするしかありません。

これまでも消毒や検温、アクリル板やビニールカーテンでの飛沫防止など、できる限りのことはやっています。

僕が言いたいのは、20時閉店についてではありません。20時という境界線で閉まる店がある一方で、それ以降も営業している店舗があります。

それはスーパーなどの食料品店舗です。

食料品を扱う店だけは20時閉店の境界を超え、21時や22時まで営業を続ける店舗があることをちゃんと知っていて欲しい。

なぜ20時閉店で揃えなかったのかを考えてみてください。外出自粛の方針も出ているというのにです。街には人がいなくなっているはずなのに。

理由は、20時まで働いてくれている人がいるから。その人たちの生活があるからです。

「20時以降は飲食店に行かないように。外に出ないように」
この方針はどんな人に向けられたものなのでしょう。具体的に明示されていないものの、想像はできると思います。

そして同時に、その人たちが20時まで食事ができるように、20時以降の家での時間を過ごせるように働いているお店のスタッフがいます。

20時に仕事を終え、片付けをし、それから食事の準備をする人たちがいる。20時で社会を終わらせるのでなく、それまで働いてくれている人たちの社会が続いていることを忘れてはいけない。


あらゆる人たちのことを考えて、食料品店舗は20時以降も営業をすることになりました。

意地悪な人は「売上が取れるから店を開けるのだろう」と言うかもしれません。しかし売上が取れると言うことはそれだけ「必要としている人がいる」ということです。

今回の宣言によって、テレワークがまた増え、出社しても今までより退勤時間が早くなる人も多いと思います。しかし、もし20時以降で街にいることがあれば、スーパーなどの食料品店舗を必要に応じて立ち寄ってみてください。

きっと、あなたが家に帰ってから食べる夕飯や、次の日の朝ごはんを用意してくれているはずです。

これは商業施設の食料品店舗だけでなく、街のコンビニも同じです。

変わってしまった世界の中で、変わらずに生活を支えている人たちがいる。それを見過ごさず、しっかりと認識して欲しい。

それが彼らに近い立場で働いている僕の想いです。



お願い

誰がえらい、ということではないんです。皆同じく制限を受けていて、その中で試行錯誤して生きている。お互いを尊重し合って、感謝して、支え合えたらいいのだと思います。

だからこそ、みんなでこの危機を乗り越えるためにお願いがあります。

あくまで個人的な気持ちです。ここまで読んでくれた方には届くと信じています。

●消毒を必ずして欲しい
施設や店舗の入口に消毒を設置しています。見慣れてきたこともあり、最近は使わずに入店する人が多いと感じます。

必ず使ってください。自分のためにも、周りのためにも。

店員は1日の中で何十人、何百人のお客様と接します。接客したり、商品を整える中で、少しでもリスクは抑えたい。

あの消毒液も全て施設・店舗の出費です。国から支給などはありません。

少しでも、安全・安心に必要な買い物をして欲しい。その思いで設置をしているので、どうか利用してください。


●ちゃんとマスクをつけて欲しい
当たり前のことですが、最近は透明のフェイスガードを付けている人も多いようです。テレビの影響等もあるんでしょう。

どこまで効果の違いがあるかは正直分かりませんが、飛沫防止の効果はマスクより薄いはずです。隙間があるということは、それだけ飛沫が人に、店舗内に飛ぶ可能性があるということです。

マスクをつけて欲しい。今はそれがルールです。

また、電話をする人。せめてマスクを外さないで欲しいなと思います。聞こえにくいかもしれないけど、今は仕方ないですよね。

モラルやルールは、変わります。

安心して買い物ができるよう、施設も店舗も準備をしています。利用する方もその状況を理解したうえで、この状況に沿った形でお買い物を楽しんでいただけると嬉しいです。


マスク越しでも分かる笑顔を

僕は商業施設の会社でしか働いたことがありません。だから、他の仕事が今どのような状況かは分からない。

ただ多くの人が利用する商業施設・駅ビル、そして今回緊急事態宣言のポイントになった「飲食店」などの店舗に関わる身として、思ったことを書きました。

あくまで個人の考えです。

コロナが生活に影響を及ぼし始めてから、もうすぐ1年が経ちます。間違いなく、一人ひとりの気持ちに見えない圧力がかかっていると感じます。

そんな中でも商業施設とその中の店舗は、少しでも生活が明るく、日常が楽しくなるように営業をしています。

正直厳しいです。いくつもの店舗が退店をしていきました。買い物をして欲しいけど、無闇に大勢の人を呼べない歯痒さもある。それでもできる形で利用するお客様には笑顔になって欲しくて、お店を開け、お客様を待っています。

マスクをつけていると、顔が半分隠れて表情が見え辛いですよね。でも、店員一人ひとりは、これまでと変わらず笑顔で対応をしているはずです。

だからぜひ、お会計の時や接客を受けた際は、笑顔で返してくれると嬉しいです。きっと、アクリル板やビニールカーテン越しでもその気持ちは伝わります。


20時という境界線に関係なく外出自粛が叫ばれる中でも、店舗はお店を開け、必要としているお客様を待っています。

苦しい中で、みんなが優しい気持ちを持ちあえるように。
色んな人に優しい気持ちを向けられるように。

買い物をしながら、少しでもそう考えてもらえたら嬉しいです。



いただいたサポートは取材や今後の作品のために使いたいと思います。あと、フラペチーノが飲みたいです。