【コマースチャンネルVol27】動画レビューのコスメソーシャルEC/個店レストラン向けDX支援/オムニチャネルコミュニケーション一括管理/食事療法プログラム/ハイブランド版ダークストア

2022年3月1日 10:06

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①動画レビューのコスメソーシャルEC「Flip」

設立年：2019/米国
調達金額：28Mドル(Series A)
主要投資家：Streamlined Ventures, BDMI, TLV Partners, lool Ventures, Mubadala Capital | Ventures US
事業概要：
　動画商品レビューが特徴のソーシャルコマースです。商材はコスメ（スキンケア、メイクアップ等）が中心となっています。Flip自身が「AmazonとTiktokの赤ちゃん」と表現するようにSNSとECが融合したUXとなっています。商品のレビュー動画やライブコマース機能などが充実。また、レビュー動画に対して評価（good/bad）するとリワードがもらえたり、投稿動画経由で購買が発生した場合に投稿者にキックバックが入るなど、SNSとして活性化する仕組みが内蔵されています。フロントのUXのみならず、バックも注力しており、自社でフルフィルメントを提供することで、翌日配送、送料無料、返品簡単といった利便性も兼ね備えています。出店ブランドはユニリーバを始め週20のペースで獲得しており年内には500に到達する見通し。既に100万DLを達成し前四半期で3万オーダー、次四半期では2倍に成長する見通しです。
一言コメント：
　面白いですね！特にフロントに加えてフルフィルメントも実装することで一貫した購買体験を提供しているのが、既存SNSがECに参入した時の優位性となりそうです。
記事リンク：
https://techcrunch.com/2021/08/30/flip-bags-28m-to-turn-beauty-wellness-social-commerce-on-its-head/

②個店レストラン向けDX支援「Owner.com」

設立年：2020/米国
調達金額：10.7Mドル(Seed)
主要投資家：Redpoint, Dylan Field, JAM Fund, Naval Ravikant, Day One Ventures
事業概要：
　小規模飲食店向けに自社ページの制作支援をしています。自社ページ（pickup、deliverly）、配達インフラ・マーケティングPFを無料で提供しています（デリバリーPFだと20-30%の手数料率）。従来大手しかできなかったことを小規模店舗も取り組めるように民主化している切り口です。通常のデリバリーPFと異なり飲食店は自社で顧客データを保持しマーケティングを自動化可能な点も特徴です。マネタイズはユーザー側から手数料5%をもらうモデル。これまで$18Mの注文を捌いており、月次レベニューリテンションが105%、クライアント数も700に達するなど成長中です。このアイデアは起業家が実家のペット理容室の手伝いをしているときに感じた課題が契機だそう。米国デリバリー市場は$248B（2020）から$449B（2025）に拡大が見込まれ、20-30%の手数料を抜くDoordash、Ubereats、Grubhubが80%の市場シェアを保持している状況。そこに対して手数料無料×顧客データを自社保有という切り口で小規模店舗をエンパワーするのがowner.comであり今後の成長が期待されます。
一言コメント：
　大手プラットフォームの影響力が高まると出てくるのが個店のエンパワー系のプロダクトです。ローカルサービスはもともとファンが付きやすいので相性は良さそう！
記事リンク：
https://techcrunch.com/2021/08/31/owner-com-serves-up-10-7m-so-that-independent-restaurants-can-get-cooking/

③オムニチャネルコミュニケーション一括管理「Trengo」

設立年：2017/オランダ
調達金額：36Mドル(Series A)
主要投資家：Insight Partners, Peak
事業概要：
顧客コミュニケーションを一括管理できるSaaSを提供しています。具体的には多様なコミュニケーションチャネル（SMS、Email、Whatsupp、Instagram、GoogleBusiness、Messanger、Wechat…）を1スクリーンでチーム管理できるものとなります。チーム内での共有も可能で作業の効率化ができたり、ワークフロー作成により自動化、QAページの生成もできます。shopify、Woocommerce、magent等とも連携済みでスムーズに導入が可能です。昨年で顧客数は700から2000の3倍になり、Eurocar、OPPOなど大手も含め60カ国で顧客がいます。また毎月2万人以上のユーザーと1300万回のメッセージがやりとりされているそうです。導入効果としては、売上が15%up、顧客満足度が20％up、25％の業務効率化など。今後オンライン接客の必要性、チャネルの多様化が進む中でニーズが増してくる市場となっています。
一言コメント：
　オンライン接客の必要性が高まる中でのコミュニケーションの一括管理は必要。これに限らずタッチポイントの多様化の一元管理はトレンド。
記事リンク：
https://venturebeat.com/2021/08/31/omnichannel-communications-platform-trengo-nabs-36m/

④食事療法プログラム「Oviva」

設立年：2013/英国
調達金額：94Mドル(Series C)
主要投資家：Earlybird Venture Capital, Temasek Holdings, F-Prime Capital, Eight Roads Ventures, AlbionVC
事業概要：
　2型糖尿病治療のデジタルソリューションを提供しています。NHS（イギリスの国民健康保険制度）のプログラムにも認証されており、GP（かかりつけ医）の紹介により無料で参加可能になっています。具体的なソリューションとしては2型糖尿病治療を始めとした食事・ライフスタイルに関連した健康問題を抱える人に対して、食事療法、ライフスタイルのアドバイスを資格保有者がappで実施します。また、プログラムが始まると、あらゆるデータ（食事、体重、症状の写真、iotデバイス等との接続により得られるデータ）を記録していきます。そして患者の栄養士と仲間のグループが互いに応援し合うなどのモチベーション維持も支援します。プログラムに参加した肥満持ちの方は半年で平均6.8％の減量に成功し、2型糖尿病向けプログラムでは53％のユーザーが1年後に寛解にいたったとの実績もあるそうです（対面よりも高い効果のようです）。現在、UK、ドイツ、スイス、フランスといった医療制度の支援がある国を中心に提供しており20万人が参加。健康保険会社経由で彼らが顧客に紹介する形式で拡大していっているそうです。今後はエリア展開を中心に全世界にいる食事周りの健康問題を抱える3億人のユーザーにリーチしていきます。
一言コメント：
　国のお墨付きのデジタルソリューションはすごいですね。アドバイス、コミュニティ、データ管理で統合提案していることも良いです。日本でもこういった取組可能なのかな。
記事リンク：
https://techcrunch.com/2021/08/31/oviva-grabs-80m-for-app-delivered-healthy-diet-programs/

⑤ハイブランド版ダークストア「Arive」

設立年：2021/ドイツ
調達金額：7Mドル(Seed)
主要投資家：Balderton Capital, 468 Capital, La Famiglia
事業概要：
ハイエンド消費財のダークストアです。21年に入り食品のダークストアの大型調達が続き金額にして前四半期だけで31億ドルに及びました。ariveは食品ではなくハイエンドな家電、フィットネス製品、化粧品、パーソナルケア、家庭用品などにフォーカスしています。ハイセンスでサステイナビリティも意識した高品質な製品に限定したセレクションとなっています。自社で在庫して自転車で配送というモデルは食品系ダークストアと同じですが、配送時間を30分程度（食品は10-15分）となっており、長距離カバレッジできる分インフラコストを下げられるという違いがあります。現在ミュンヘンで利用可能であり今後ドイツ他都市に展開予定です。EC市場が拡大する中で食品商材以外にも"quick-commerce"の市場が立ち上がるのではないかという切り口となっています。
一言コメント：
　ペインの深さ、エコノミクス成立の蓋然性が気になりますが、すべての商材が当日配送・翌日配送になってきている次の未来はeverything will be quick-commerceなのかもしれないです！
記事リンク：
https://jp.techcrunch.com/2021/09/03/2021-09-02-iphone-inside-30-mins-germanys-arive-brings-consumer-brands-to-your-door-raises-e6m/

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