1-3 死に顔写真家

登っていた階段の一番最上階。
二人の目の前には扉があり、その扉は南京錠やら、鎖やら、ダイヤル式のロック錠やらでガチガチに固められている。
磯辺と土屋の二人は、そのガチガチに固められたロックの解除に勤しんだあと、その扉を開けた。

恐らく長らく使われていなかったのだろう。
取っ手も黒ずんでいて、金属部分も削れているし、留め具も赤く錆びている。その有様は、長く放置されてきたこの場所の、歴史さえも感じさせる。
やっとの想いで、扉の解錠作業を終わらせた磯辺と土屋は、ドアノブに手をかけた。
扉を開ける音にしては仰々しく、聞くにしては少し不愉快な。そんな、ギィという金具が軋む音を立てて扉を開いた。
その瞬間、強い風が土屋と磯辺の顔に吹き付けた。

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