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好きでもない男となぜセックスできるのか

最低な朝迎えたとき、あたしは昨晩の自分にうんざりする。例えば、頑張っておしゃれした日に限って雨が降って髪が広がったり、バイト先の店長に怒られて自分のやることなすこと上手くいかなかったり、好きな人のために作った慣れない料理を失敗しちゃったり、そのくらい、うんざりする。昨日のあたしをぶん殴りたくなるくらい。

好きでもない男と寝て、ベットの下から昨晩の抜け殻を探して、虚無感を手土産に帰路につく。そんな朝をばかみたいに何度も迎えた。

どうしてあたしは好きでもない男とセックス出来るんだろう。

この自問に対して「経験人数=女の魅力っしょ卍」期、「基本的にセックスは嫌い…でもとにかく寂しいからそばに誰かいてほしい」期、「とりあえず暇だから飲も、ついでにヤる」期を経て今に至る。


「とにかく寂しい」期は精神がグラグラで誰かに必要とされてない自分なんて存在する意味ないんだ…(死)みたいな気持ちで毎日を過ごした1人じゃ生きていけなかった時期。結局、満たされるのは一瞬だけで一晩誰かと共にした後はまたグラグラ、そんな夜になんの意味もない。

いい恋愛ができる人っていうのは、容姿がいいとかお金あるとかじゃなくて、精神が安定してる人。これに尽きる。

精神安定してない時は自分のことを大事に出来ていない時だ。あたし高校生のとき「自分を大事にできない人間が他人のこと大事になんてできるか」って諭されて、今でも覚えてるんだけどほんとに、「自分を大事にするってどうしたらいいの?できないよ」ってすごく悲しくなったの。

好きな人ができて、彼氏が出来て、友達がいて、家族がいて、大切な人がたくさんいる。あたしは今、自分のことは結構好きだし周りの人のこと大事にしてるつもりだ。それでもたまに自分を大切にするのってどうしたらいい?って分からなくなっちゃう時がある。最低な朝は特に。泣いちゃうくらいに分からなくなる。自分のことなのに、傷つきたくないのに、自分のことを守れるのは結局自分しかいないのに、どうしたら…。

最近気付いたんだけど、例えば人への感情を全て「愛」と呼ぶならあたしはこいつがとてもとても大きいんじゃないかと思う。しかもそれを扱うにはあたしはまだ弱っちくて不器用だ。小さなアリが自分より大きなエサを巣まで運ぶように、あたしはたまにその大きな気持ちに押しつぶされながらも、よいしょよいしょと誰かのもとに運んでる。

このおっきな「愛」という気持ちを運ぶ時、グラグラしちゃうのだ、重くて重くて1人じゃ耐えきれないから。

一晩寝ただけの男を本当に好きなったこと1度もない、違う男とセックスしながら本当に好きな男のことだけ考えている。デブほど暗い色の服を着るように、重いから軽く見せるため、あたしの愛は1人の人間にぶつけるにはきっとあまりに重いそれはもう大砲のような愛を、あたしは好きでもない男とセックスして押し付けているのだ。削って削って自分で扱える丁度いい大きさにする。

好きでもない男と寝ること、それは自分の愛を削ることだ。今はそう思う。

他に方法なんていくらでもあるのだ、例えば好きな芸能人ができたり音楽やゲームに費やしたり、愛を削るっていう言い方はニュアンスが違うかもしれないんだけど「自分ではない何かのための感情」を発散することは生きていく上でとても大切な作業だと思う。

あたしにはたまたま何も無かっただけだ。没頭できる趣味もなくて、手っ取り早かったのが男だったってだけ。

軽い女、自分を大切にしなよって言われて、たくさん悩んだけど、あたしには必要だった。

大体のことは時間が解決してくれる。あんなこともあったな、辛かったなって全部過去形にしてくれる。忘れることは出来ないかもしれないけど気分はちょっと良くなる、それでいい。今でも自分のことどうやって大事にしたらいいか、分からなくなる。けど、とりあえずは丁寧な生活をしようと思ってる。

変なこと考えだすと寝れなくなるから、部屋を暗くしてアロマとか炊いちゃってお洒落な曲とかかけてホットミルクでも飲んで、ゆっくり休む。朝起きたらカーテンを開けて水を一杯飲んで、いつもより手の込んだ朝食を作る。食べ終わったら紅茶を入れながら、ゆっくり準備を始めよう、メイクをしてちょっとだけおしゃれして、紅茶のいい匂い、窓を開けて綺麗な空気をめいいっぱい吸い込んで、

これは最高な朝だ。







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