あったかい
あたしの大好きな家族の話。
あんまり他人に自分の家庭のことを話したいとは思わないんだけど、こんな時期だから書いてみたいと思うの
先月、パパが再婚した。
お相手はパパの会社の人であたしも会ったことがある小さくてなんかこけしみたいな人。旧姓は安倍さん、すごくあたしにも優しくしてくれるんだ。パパ、おめでとう。安倍さん、こんなパパだけどよろしくね、甘やかさないで少しは痩せてって言ってね。
あたしの両親はあたしが1歳の頃に離婚してて、ママはシングルマザーだったけどパパも週一くらいで会いに来てくれたから、あたしは中一になるまで2人は普通に夫婦だと思ってた。指輪をしない人だっているし、多分単身赴任ってヤツなんだろうなーって思ってた。
2人が実は離婚してたって聞いた時はすごくショックだったのを覚えてるけど
「夫婦喧嘩してるところを子供に見せたくない」
っていう理由で離婚したって聞いて、なんだかすごく、2人らしいなって思ったのを覚えてる。一人娘のあたしは本当に宝のように2人に愛されていたんだなって、今はすごく思う。
ママは生活面ではすごく厳しかった。虫歯になるからってお菓子買ってくれなかったり、9時半には寝なきゃいけなかったり、食事のマナーだったり人との接し方とかね。でもそのかわりママから「勉強しなさい」って言葉は1度も聞いたことがない。
反対にパパはあたしが小学生の頃から熱心に勉強を教えてくれた、ほんとに熱心、あたしが飽きて泣いて突っ伏してもおかまいなしに算数のドリル解かされた記憶がある。でもパパは寝れない時は夜中でもコンビニに連れてってくれたり、ママがダメっていう駄菓子とか内緒で買ってくれた。
あたしが辛い時には2人とも逃げ道を作ってくれていた。
少し世間とは違うカタチかもしれないけれど、ママもパパはそうやってバランスをとって、離れてはいても2人で協力して子育てをしたんだなぁ
だからこうやって、自分では言うのは変なんだけど普通に生活もできるし、ある程度知識と常識のある人間になれたんだなって心底思う。ちゃんと教育して大人にしてくれたこと本当に感謝してる。
そう思えるようになった頃、いつ頃からかな、高校生くらいかな。
2人にはもうそれぞれパートナーがいるってことを察したの。やっぱり、子供だから分かっちゃうんだよね、けっこう複雑なんだ
毎年お正月には家族からではない名前の無いポチ袋がママから渡されて「それ先生から」って。ママの言う先生ってのはよくわからないけどお堅い職業についてるらしい、人。そんな男性から送られてくるポチ袋。
パパの携帯にかかってくる女性の着信も。
なんだろーなって、最初はモヤモヤしたの。
2人は離婚してるからお互いに別の人といることは何も悪いことじゃない、ない、けども。やっぱり自分の親の恋愛事情なんて知りたいわけない。
ずっと知らないふり、見ないふりをしてた。
でも、去年の夏。パパの再婚の話を聞いて。
やっとあたしのモヤモヤが消えた。厚い雲が風で飛ばされたような吹っ切れたっていう感じ。「パパは再婚するけど、かなの父親であることに変わりはないし、かなのママはママだよ。ずっとパパとママはかなのパパとママだから」そう言われて、ホッとした。
今思い出しても涙が出る。嬉しいとか悲しいとかそういうのじゃなくて、人の優しさに触れた時とか安心した時に出る、なんだろう感動なのかなこれは、あったかい涙。
初めて「おめでとう」って言えた。あたしが大人になるまで、気持ちの整理をできるようになるまで2人は待っていてくれた。きっとあたしが中学生だったら絶対ごちゃごちゃになって祝福なんて出来なかった。
娘は、大好きな両親2人の幸せを心から願っています。
あたしが一人暮らしを初めて2人とも寂しいって頻繁に言うし心配だってLINEもちょくちょく来る。けど大丈夫、あたしはもう子供じゃないから。育児お疲れ様。これからは2人は親じゃない、自分の人生を縛られずに楽しんでほしいって思う。
もし今、コロナがなかったら真っ先に実家に帰りたい。パパとママに会いたい。
でも今、パパとママが大好きだからこそ絶対に帰らないつもりでいる。娘、頑張るから安心してね。
おわり。
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