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AIにマナーは必要ない

1ヶ月くらい前、彼氏とびっくりドンキーを食べに行った時のこと。

隣の席の家族がふと目に入ってあたしはなんだか違和感を覚えた。お父さん、お母さん、中学生くらいの男の子、三人全員スマホを見ている。

待ってる間だけでなく料理が来てからもだ。スマホ片手にハンバーグを食べてるその家族に、猫が背筋ピーンして歩いてるみたいな、なんというか言いようのない違和感。そして目の前には現在進行形でスマホをいじいじしている彼氏。

「ねー、おしゃべりしよ」「構ってー」彼氏の気を引いてみる。面倒なやつだと思われないかな、でもなぜか分からないけどあの家族みたいになりたくない、せっかく一緒にいるのに別々の方に興味が向いている状況が、なんだかすごく嫌なのだ。

帰りの道中、彼氏にその話をしながら、そういえば実家でも食事中にスマホを触る人はいなかったなと思いだした。直接ダメと言われたことは無いけどそれはマナーの1つだったし、暗黙の了解というかうちの常識のようなものだったと思う。

押し付けようとは思わないけど、あたしのそばにいるあなたには、時代にそぐわない考え方かもしれないけど理解してほしいのだ。あと、トイレの蓋は閉じて出てほしいの。


スマホが普及して興味深いコンテンツが溢れかえる情報社会で、こんな考え方は古臭いのかもしれない。

いずれ来ると言われている、トランスヒュームニズムの時代。人間の脳がクラウド上で活動し体は必要なくなるAIの時代。そんな時代において面と向き合ってのおしゃべりや食事のマナーは必要なくなるのかもしれない。

食事は体に繋がれた栄養チューブから。それが常識になったなら箸の持ち方が変よ、食べ物口に入れて話さないの、三角食べしなさいよとか、全て必要なくなるんだな。常識は変わるものなのだ、けど、なんだか寂しい気持ちにならないだろうか。 

ご飯の食べ方が綺麗だとやっぱり好印象だし、1番は「みんなでご飯食べる」という楽しさが無くなってしまうのが寂しい。好きな人と美味しいものを食べる、たくさん話す、感動する。心動かすものがなくなってしまうというのは今まで大事にしてきた他人には価値がなくても自分にとっての宝物を誰かに取られたような、そんな気持ちになる。

アニメの世界に飛び込んで、思ったものがなんでも空想上で作れるようになる。空も飛べるしビームだって打てる、好きなあの人とは仮想世界でデートして見た目だってボタン一つでカスタム自由。

きっとAIが作る世界もそれはそれでいいのかもしれない。けど、人間が作った世界にもたくさんの感動が溢れていたことを忘れたくはない。いつか人の体は必要なくなる、そんな時代が来たらあたしは逆行なんてしないし何も考えず「周りのひとがそうするなら」脳にチップを埋め込んでしまうだろう。

でも、人間がAI化しちゃうまでは、人同士が一緒に過ごす時間を機械に取られたくはないなと思う。


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