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漂うように

ここ最近、夢中になれるものがなかった

熱中できるエネルギーが失われていく感覚があって、それを感じる度にじりじりと焦りを感じ始めていた

にもかかわらず、エネルギーを使うものに手につけることすら億劫だった

その代わりに、日常生活で花を生けるようになった
観葉植物を育てるようになった
アンビエントミュージックや、焚き火の音、雨の音をよく聴くようになった

何故か家に招いた友人たちに、口を揃えて「丁寧な暮らしって感じがする」と言われるようになったのはそんな所以なのかもしれない
(筆者の家はよく荒れるし、酒ばかり飲んでいるが…)

今まで生活で癒しを得ること、そのものの概念を知らなかったが、それらの心地よさに気がついて、だんだん欠かせないものになってきた
興味のなかったものだったが、地味であるそれらにはまた違った、大きなエネルギーが秘められていたことに気が付いた


理想の作品


友人と、理想の絵の話をした

自分の技術や大好きなものを押し付けるような息苦しい絵はもう描きたくないし、見たくもないよね、という話をした

肩の力を抜いて、雑念のない状態で感性に浸れるような、そういった意味で豊かな作品を作りたいし、触れたいと思うようになった


元来、絵を続ける一番の原動力になっているのは、誰かの人生を少しでも豊かにしたいという思いだったことを忘れていた
何故なら、自分が絵でそんな体験をして、忘れられないでいるからだ

どうすればそれができるかを色々試して絵を描いていたはずだったのに、何度もそれを見失っていて本当に辛かった


触れると、水面や空の上で漂っているような作品を作りたいと思うようになった


誰かの心の拠り所になりたい、有名になりたい、なんて大層なことは全く考えていないし、むしろ目指したくない
必要最低限の生活を営むことができれば、それが目標達成といえる


静かながら、力を秘めているものの助けを借りれば、一歩前進できるような気がする
近頃は、そう信じています