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【読書記録】花の埋葬

タイトル:花の埋葬 24の夢想曲
著者:坂東 眞砂子

ひとは夢の中でさまざまなものを思い描く。生と死、愛と憎、肉体と精神、官能と苦痛、永遠と瞬間、安心と恐怖。あるときは縛られ閉じこめられ、あるときは解き放たれる。亡くなった家族や友人たちの思いが私を圧迫したり、癒したりする。そんな不条理で豊穣な「夢の世界」を確かな筆致で描く。自らの夢をもとに紡いだ24編のショート・ストーリー。

書籍裏面のあらすじから引用

表題作である「花の埋葬」を含めた24編からなる短編集です。
あらすじにもある通り夢がモチーフの作品なので、物語に意味を求めて読むとしっくりこないかもしれません。

私は人の心象風景を覗き見させてもらっているような心持ちで「この登場人物はこういう心理状態にあったから、こういう夢をみたのかな」と考えたりしながら楽しく読ませてもらいました。
なにせ夢なので、ストーリーの展開は唐突だったり不条理だったり、必ずしも読後感のよい話ばかりではありません。
むしろ全体を通して見ると、ホラーや愛憎の要素を強く感じる話が割合としては圧倒的に高いです。

それでもどこか幻想的で美しい筆致が心地よく、1編1編は5~10分程度で読めるくらいのボリュームなこともあり、ドロッとしたストーリーでも引き込まれすぎることなく読みやすかったです。
個人的にはこの作品は一気読みするより、1日数編程度のペースで少しずつ読むのがしっくりきました。

読書に没頭する時間はあまりとれないけれど、少しえぐみのある話の方が気分だった今の自分にはピッタリの本でした。

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