【読書記録】龍神の雨
タイトル:龍神の雨
著者:道尾 秀介
※以下感想です。ネタバレに配慮はしていますが、心配な方は引き返してください。
事故で母を失い、継父と三人で暮らす兄妹。
母と父を続けて亡くし、継母と三人で暮らす兄弟。
降り続く雨によりこの4人の運命が交錯してゆくミステリー。
この冒頭2文の状況を把握しただけでも、もう自らを「大人」と称することに違和感の無くなった自分にとっては読み進めるのが辛いものがありました。
主要な登場人物たちの心の中には深い哀しみややり切れなさが沈殿し、雨の描写も相まって自分も雨降る街にいるようなじっとりとした感触を覚えます。
その反面、道尾秀介さんらしい大胆で華麗な筆致も同居していてページを捲る手が止まりません。
私は今回文庫版を購入したのですが、橋本満輝さんの解説もとても良かったです。
これはミステリであり、ヒューマンドラマでもあると感じました。
私はもう読み終わっているので物語の結末は知っていますが、1年後、5年後、10年後にまた読んだ時に受け取り方が変わりそう。
ぜひ雨降る夜に読んでほしい、そんな作品でした。
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