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「怪物」「ウーマン・トーキング 私たちの選択」


 映画の感想2本まとめて。重いテーマではありますが、俳優陣の演技や構成など映画としても素晴らしいのでぜひ観ていただきたい作品です。

 まずは是枝裕和監督「怪物」から。予告編の段階ではあまり情報がなく、これはホラー?と思わせるようなミスリードが功を奏していました。従来の是枝監督らしさはありつつも、母親、教師、少年たちへと視点が変わっていくことで事の真相が明らかになっていく緊張感あふれる脚本は新鮮。監督の作家性とエンタメのバランスが絶妙で、今まで是枝監督作品に触れてこなかった人にも観やすい仕上がり。

 何か問題が起こった時に誰が悪役(怪物)なのかを探して、それを攻撃することで人は安心してしまうもの。「怪物」とは理解できない何かの象徴でもあり、勝手に恐れて差別することで自分自身も怪物になってしまうのでは?でもそうならない道だって選ぶことができるはず、という希望を感じられたラストでした。子役の二人はもちろん、教師役の角田晃広(東京03)やママ友役の野呂佳代などキャスティングも良かったです。


 次はサラ・ポーリー監督「ウーマン・トーキング 私たちの選択」です。自給自足で暮らすキリスト教一派の村で実際に起こった事件をベースにしているというのは事前に知ってはいたものの、静かな村に唐突に流れる大音量の音楽に「これは現代の話で、しかも今もどこかで起こっているかもしれない話なのだ」とハッとさせられました。
 村を出ていくのか、それとも残って闘うのかを一晩で決めるなんて想像以上に大変なこと。話し合いによる決定は当たり前のように感じるけれど、そもそも教育も受けられず女性たちだけで話し合う権利さえ与えられてこなかったのです。それでも泣いたり笑ったり苦しんだりしながら、必死で自分の意見を伝え相手の話を聞こうとする姿に胸を打たれました。

 書記役のベン・ウィショーと子供たち以外の男性の顔がほとんど映らないのも印象的。直接的なシーンがなくとも女性たちが受けた心と身体の痛みは十分伝わってくるし、扇情的な表現は必要ないのだと思います。最後のメッセージは監督の考えを押し付けるのでなく、あなたが自分で考えて選択した答えが正しいのだと言っている様でとても良かったです。


 おまけは「怪物」を観た帰りに衝動買いした、無印良品のIDEEコーナーで半額だったコートハンガー。夫は玄関に荷物を置くタイプなので、帰ってきてすぐコートやバッグをかけられるハンガーをずっと探していたのです。探している時には見つからず、忘れかけた頃に見つかるのが探し物。ダークグリーンという渋めの色と男性ブランコのコントに出てくる音符みたいな形が気に入りました。

ついでに最近食べたものなど。年中食べているけれど、蒸し暑いのでカレーの頻度がますます上がります。たまに食べたくなる新宿御苑の「草枕」のナスチキン、辛さ7、チーズトッピング。

 カレーを食べてお会計をしようとしていたら、キャロットケーキを売っていたのでついでに。カレー屋さんが作るスパイスを使ったお菓子にハズレなし。五香粉とカカオニブが入っているのが珍しい。左のレモンケーキは新宿小田急に出店していたレモンケーキ専門店「レゾンデートル」のもの。しっとりしていて酸味もちゃんとあって美味しかったです。

 見出し画像は去年食べてハマったフレッシュネスバーガーの「パクチーチキンバーガーグリーンカレー」。今年もたくさん食べたいと思います。