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「クイーンズ・ギャンビット」「フェアウェル」

 「エミリー、パリへ行く」の次に観てどハマリしているのが「クイーンズ・ギャンビット」。前者とは対極的な孤独と狂気を背負った孤児院出身の主人公ベスが、男性中心のチェスの世界でのし上がっていくお話。

 チェスがわかればきっともっと楽しめるのだろうけど、地頭がいい人に憧れがある私には「チェスの天才」という設定だけでときめきが止まらない。大きな瞳に尖った唇がキュートなアニャ・テイラー=ジョイの演技が素晴らしいのはもちろん、チェスで勝ち上がっていくたびに洗練されていくファッションも見もの。タイトなカーディガンやデニム、白い小さな襟のブラックドレスなど50年代から60年代のファッションやインテリアも素敵で隅々までこだわりが感じられます。(転落していくときはメークもガラリと変わってグランジスタイルになったり。)

 薬やアルコールへの依存、実母や養母との関係などただのサクセスストーリーでないところもいい。連休や年末にまとめて観るのもおすすめです。

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あくまでイメージですが、ベスみたいに白い襟のニットにタイトなノンウォッシュデニムを履きたくなりました。

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 A24作品「フェアウェル」の感想も。「ウェデイング・バンケット」を彷彿とさせる、世代間や文化のギャップや結婚式のため久しぶりに集まった家族のゴタゴタはよくあるお話。それでも楽しめたのは、コメディエンヌのイメージが強かったオークワフィナの抑えた演技と憎めないおばあちゃんのおかげかと。(中国語でおばあちゃんのこと「ナイナイ」って呼ぶの可愛い。)そして、なんとなくそんな予感はしたものの長い前フリを経てあのオチ!しんみりした後についニヤニヤしてしまいました。

 古い価値観や東洋的な死生観には賛否があるかもしれないけれど、監督の実際のおばあちゃんがモデルになっているのでそこはそのまま描いたんだろうなと思いました。中国に嫁いで来た日本人アイコさんの所在なさ演技が絶妙で、あの女優さんはアメリカで活躍されてる方なのだろうか・・・。アジア映画定番の美味しそうな食卓を囲むシーンも多いのでそこも見どころです。

 ちなみに見出し画像はビヤンネートルの11月のパフェ「和栗/桂花/杏仁」です。