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「アネット」「ニトラム」

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 映画の感想を2本まとめて。まずはカンヌ国際映画祭でレオス・カラックスが監督賞を受賞した「アネット」から。監督の作風もミュージカルもあまり得意ではないものの、「そんなシーンまで歌う?」と突っ込みたくなるほどの徹底ぶりがむしろ面白く気になりませんでした。主演二人の歌声もよかったし、どちらかというとMVを観ているような雰囲気。

 意外だったのは男女格差やMeeToo運動など、ちゃんと現代のテーマに監督が寄せてきたこと。アダム・ドライバー演じるヘンリーが妻のアンの成功に対して劣等感を抱き、直接暴力は振るわないものの次第に支配しようとしていく様が「ミュージカル」という形式を使って描かれるのも新鮮。娘のアネットの表現も独特で、最初はなんでこんな姿なの?と思いましたがラストで納得。ヘンリーにとって搾取の対象でしかなかったものを、あの時初めて「娘」として捉えることができたのかもしれません。一番悲しいのは愛されないことではなく、愛することするら拒絶されてしまうことなのかなと思いました。

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 次もカンヌ国際映画祭で主演のケイレブ・ランドリー・ジョーンズが男優賞を受賞した「ニトラム」です。96年オーストラリアのタスマニア島で実際に起った無差別銃乱射事件をもとに描いた作品。タスマニア島の景色がとても美しく、直接犯行シーンが描かれないことで余計に想像してしまって胸が痛い。本当の名前を呼んでもらえず自分を愛することができなかった青年マーティンの日常を、淡々と過度に寄り添うことなく描いていたのがよかったです。犯行自体は全く許されるものではないけれど、ケイレブ君の演技が素晴らしいだけに心が揺さぶられました。

 「アネット」も「ニトラム」も毛色は違えど、ふざけたつもりで悪気なくやったことが後にとんでもない不幸を呼んでしまうという共通点が。ここまで大きくなくとも、結構誰でもやってしまう可能性があることなので自分自身も気をつけなければ・・・とゾッとしました。それと同時に、最近話題になった日本の某映画監督の過去の作品をよく考えず面白がっていたことも間接的に加害者になっているといえるしそこは反省したいと思います。

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 見出し画像は最近買ったosajiとsopoの新色ネイル。たまたまですが、お気に入りのyanyanのニットにぴったりの色でした。特にosajiのストローは、水色ベースにレインボーのラメがキラキラと輝いて最高に可愛いのでおすすめ。