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「アフターサン」


 A24作品「アフターサン」を観たので感想を。離れて暮らす31歳の父カラムと11歳の娘ソフィが過ごす短いけれど眩い夏が、美しい映像と90年代の名曲と共に描かれていました。プールのシーンなどソフィア・コッポラの「SOMEWHERE」を彷彿とさせつつも、常にどこか不穏な空気というか死の影を感じさせるところが一味違う。
 水の中、鏡越し、カメラ越しの映像は記憶の断片をかき集めているようで、当時の父親と同じ歳になったソフィの脳内を垣間見ているような気持ちに。繰り返し挟まれるレイヴシーンは何だろうと思っていたら、ラストに流れたクイーン&デヴィッド・ボウイの「アンダープレッシャー」の内容とシンクロして胸がキュッとなりました。夜の海での出来事や部屋に置かれた瞑想の本など、はっきりとは描かれないけれど若くして子供を持ったカラムは悩みを抱え一人で苦しんでいたのでは。ソフィはそんな父親のことを思い出しながら、完全に理解はできなくとも少しでも近づこうとしたのでしょう。変に説明せず、分からないことを分からないまま描いているところが良かったです。

 次は最近買った漫画のことなど。右はネットで読んでいた、さかなこうじ「今日、駅で見た可愛い女の子。」です。ちなみに実際は女の子ではなく完璧な90年代女子高生のコスプレをした男子校生を、そんな女子高生になりたかったおじさんが羨望の眼差しで見ているというやや複雑な構造が面白い。出てくるアイテムもセボンスターやスイマーの雑貨、モコモコペンなど私も持っていた懐かしいアイテムばかりで読んでいて楽しいのでおすすめ。
 左は田亀源五郎先生版「きのう何食べた?」とも言える「魚と水」です。何食べと違うのは二人が友人同士というところ。友情から愛情に移り変わっていく様を、美味しそうなご飯を交えながらいたって自然に描いているところが良かったです。

 我が家はすぐ漫画に影響されるので、「魚と水」に出てきたラタトゥイユが急に食べたくなって作りました。もちろん何食べの新刊も買いました。秋のドラマ2期も楽しみです。

 見出し画像はロイヤルホストのマンゴーパフェ。台風の被害が大きくならないといいのですが、皆様もどうかお気をつけて。