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他人の家なのに居心地が良い

もう1ヶ月近く前の話だが、日頃からとても良くしてくれる友人が一人暮らしを始めたというので、遊びに行った。

都内某所。
私には縁もゆかりもない土地だ。

駅から少し遠いが、整備された街並みで緑も多く、住みやすそうなエリアだ。

他人の家の扉を開ける瞬間は、いつもワクワクドキドキする。

スリッパを出されると、招待されている実感が湧くので、ちょっと嬉しい。

少し緊張しながら家の中に入ると、インテリアから小物まで、細部にわたって友人の磨かれたセンスが光っており、彼女らしい空間が作り上げられていた。

手を洗うために洗面台を借りた時、かつて私がプレゼントした猫耳のヘアターバンが掛かっているのを見つけて、驚いた。
そして、1人でこっそり喜んだ。

半分ネタのようなプレゼントだったのに、一人暮らしの家にまで持ち込んでくれていたのが嬉しかった。

**


さて、家に遊びに来たといっても、何するわけでもない。
ドーナツを頬張りながら、彼女が淹れてくれたコーヒーを飲み、ひたすらおしゃべり。

なんでだろう。
心の底から癒された。

この空間が、この時間が、最高に心地よくて、とても落ち着く。

彼女らしさの詰まったこの家は、彼女そのもののようだった。

彼女は家のことを「自分の城」と表現していた。
まさにそんな感じである。
私は、そのお城に招かれた来賓。

***

ひとしきり喋り倒したところで、日も暮れてきた。

徐に、彼女が窓のカーテンを閉めた。
よく見たら、カーテンもめちゃめちゃ可愛くて、彼女のセンスがここでも光っており、さらに私の好みでもあった。

一人暮らしを始めて間もないのに、ここまで完成度高く自身の城を築き上げていた彼女に脱帽。

家を整え、暮らしを楽しんでいる彼女の自宅は、ハッピーなオーラしかなかった。

そのオーラが、私を心から癒してくれたのかもしれない。

****

彼女の家にいながら、ぼんやり自分の家を思い出した。

雑然としたデスク、洗い残してきた洗濯物、片付けが追いついていないダンボール。

正直、帰りたくなかった。

しかし、彼女に感化され、私ももう一度、自宅を「自分の城」にしてみたかった。
引っ越してきた当初のように。

帰ってから、年末に向けたお掃除リストを作成した。

目を背けてきた箱、もう使わないものたちで溢れかえった部屋を、いま一度見つめ直し、片付けをしようと決意した。

*****

そんな決意をして1ヶ月ほど経った本日。
ようやくリストの1つ目である、「クローゼットの片付け」に着手できた。

年末は刻一刻と迫っている。

このペースだと、「自分の城」計画は年を越しそうだが、最低限の片付けをして、すっきりした気持ちで新年を迎えたいと思う。

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