見出し画像

代官山の犬になりたい

地方に住んでいるので、東京にはいつも憧れがある。
進学のときも、就職のときも、上京するか悩んだ。大学2年生の時の将来の夢は、「港区OL」か「代官山OL」。それでも、わたしは上京はせず、(そもそも東京の会社を一つも受けることなく)東京を『憧れ』のままにすることを選んだ。

それでも地方で、泥臭く働いていると、「東京のOL」に異常な幻想を抱くようになる。Instagramに映るOLの友だち。偏見が強く入ってるかもしれないが、華金に、淡色のオフィスカジュアルに身を包み、同僚10人ほどでハンドバッグを持ち、全身で写真をパチリ。この写真は毎回誰かに頼んでいるのか、、など下世話なことを思う。そして休日には、ブランドのミニバッグを持ち、華やかなテーマパークやグランピングに向かい昼からビールやワインを飲む。なんて華やかな生活だろう。

一方、わたしは仕事柄、休みの日にいつ呼び出されるかもわからず、暗めのスーツ(それもスラックス)にスニーカー、ウインドブレーカーにリュックだ。一見すれば不審者ほどの真っ黒さ。走り回ることも多い。飲み会にはいくが写真は撮らないし、同期女子と華々しく写真を撮ることもない。旅行もろくに行けない、そもそも休みが少ない。

それぞれの職業で大変なことがあるのはわかるし、わたしは今の自分の仕事が嫌いではなくやりがいも感じている。ただ、理不尽な仕打ちを受けると、たまに他人から見ても華やかな生活に憧れる。

そんなこと言ってもどうにもならないのでたまに背伸びをして、おしゃれなランチ(それもイタリアン、水にレモンが入っているような店)をして、綺麗なOLを装って誤魔化そうと思う。

この前、入社して初めて旅行に行った。東京だ。東京で何をしていいか分からない。なんでもあるからだ。それで、ふらふらと代官山にたどり着いた。

「ここで働いている人たちはすごいなあ」とキラキラ、いろいろな人がいる街並みを見ながら思っていた。そこにわたしの目に入ってきたのは、代官山で散歩されていた犬。仕事に疲れていたわたしはこう思った。

「代官山で散歩される犬になりたいな、、」

一緒にいた友人は、頭に一瞬ハテナを浮かべながらもすぐ納得していた。散歩していたのは、仲良さそうな3人家族。子供は女の子でまだ小さく、可愛らしい服を着てきた。夫婦も若かったが、上品な格好に身を包み、休日を楽しんでいた。もはや、いろいろせかせかするのではなく、代官山の綺麗に舗装された道をトコトコ連れられて歩く白いモフモフの犬になりたい。そして、あったかい家庭で暮らしたい。

なんか疲れていることに気がついたので、社会人2年目の目標は、余裕を持って時には人にも甘えながらセカセカではなく、トコトコ歩くこと。と、すこしはキラキラした生活を演出することだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?