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#36 クリスマスも何も関係なく続く”気持ち悪い”

クリスマスの思い出はあるにはあるが、
これといって特質したエピソードはない。


夫婦でご飯食べに行ったり、
友達みんな集まってパーティーしたり。
昔、ピザ屋さんでバイトしていた頃、
クリスマス近辺は書き入れ時なので
朝から晩までサンタの衣装を着てバイクに跨り
ピザを配達しまくっていた。

くらいかな。


しかし、2020年は全く違うクリスマス。

朝、目を開ければ薄クリーム色の見飽きた天井。
腕から点滴の先っちょをぶら下げベッドから起き上がる。

蓄尿し、朝ごはんを残し、口腔ケアをし、

看「岡安さん点滴です。お名前お願いします」

岡「岡安章介です」

看「はい、では始めますね」

点滴スタート。

副作用の”気持ち悪い”は前日よりは落ち着いてきたが、
まだまだ絶賛絶不調だった。

体はだるくて目の奥が少しぐるぐるする感じがある。

放射線治療。
いつも通りの治療終えて再び病室のベッドに横になる。

メリークリスマス〜!!!


いや!なんだこれ!!!!!
2020年のクリスマスこんな感じで終わっていくのか?

でもどうすることもできない。
院内を出歩く気力も湧かないし、
気持ち悪い”が収まらないので携帯で映画やドラマも見る気にならないし、クリスマスソングも特に聴きたくなかった。

辛い

クリスマスなんかどうでもいい。
ただただ時間を流した。

18時過ぎ。

看「岡安さん夕ご飯です。お名前お願いします」

岡「岡安章介です」

看「はい、どうぞ」

お盆にはいつも通りの夕ご飯とは別に
見慣れない小さな箱が付いてきた。
ん?なんだこれは?

箱にはチョコロールケーキの丸太の家に
カラフルなお菓子でデコレーションしてあるケーキが描かれていた。

ここに来て急にクリスマス感!?

そっと箱を開けるとそこには
ザ・シンプルチョコレートケーキが入っていた。
クリームも少なめのやつ。



ジャケットと全然違うじゃんか!

他のご飯は全然食べれなかったが、
このケーキだけ一口入れてみた。

甘くてふんわりして食べれた。

今の状態の岡安にはちょうど良い。
美味しくケーキを食べれた事で気分が変われたのが嬉しかった。

こういうのでも気持ち変わるんだなぁ。

夜、テレビ電話。
ナースステーションの前のスペースに飾ってある同じ背丈くらいのクリスマスツリーをバックにゆうちゃんとトーク。早速ケーキの話をした。

ゆ「来年はケーキ一緒に食べようねーぇ」


まぁこんなクリスマスがあってもいいか。
人生色々あるさ。

気分が変わると周りの物が違って見えた。

21時。
消灯しても点滴の機械のランプはクリスマスツリーのように点滅し、

隣の部屋の医療機器のピッピッピッピッピという音が
サンタを乗せたソリを引く
トナカイの鈴の音と同じテンポに聞こえた。



サンタさんへ

明日は”気持ち悪い”が少なくなるようにお願いします!


Merry Xmas!

実際の消灯後の岡安の点滴のランプです笑


                     つづく

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