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小学6年生の私は、電車を乗り継ぎ、他県の親戚の家を訪ねた。
大学受験のために訪れたまち、就職して引っ越したまち。
「はじめまして」私の知らないまち。

人見知りの私には、いつもの空気と違う、なんか変な感じにまず出会う。
何が違うかと言われれば、わからない。
流れる風、聞こえてくる音。
道の幅も違えば、植えられた木々の種類も違うかもしれない。
商店の色合いも違えば、行き交う人の言葉も違う。
人だ。人が違う。顔つきだってきっと違う。
人が違うから、生活が違う。生活が違うかニオイが違う。
ニオイ。ニオイが違う。

お気づきだと思うが、都市部と農村部の比較をするものではない。
なんでもない、カギカッコのつかないまちのことを言っている。

ニオイは重要だ。
ニオイに誘われて人は集まってくる。
ニオイによって、人は遠ざかる。
自分では気付かないことが多い。
ここでは雰囲気と言い換えてもいいが、ニオイなのだ。
作られたニオイもある。
だからこそ、好き嫌いがある。当然だ。

まちのニオイを嗅ぎに行く。

ニオイは、そこに居過ぎると、消えてなくなる。
嗅げなくなる。空気になる。
だから、1回切りの勝負だ。

このまちのニオイ。
何かを探して歩くのではない。
ニオイに誘われ、たどり着く。

さあ、まちへ出よう。盲目の現代人よ。


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