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涙する私は、逃げ足の速い男

上間陽子著「海をあげる」を読んだ。

あとがき

もしこの本を読む人がいたら、
「あとがき」までなんとかたどり着いてほしい。
感想として書こうと思っていたことはここに書いてある。

なんで?

この本を読むことになったのは、読書会の課題図書に選ばれたから。
ここ最近で1番、印象的だった本として推薦された。(記憶が正しければ)
なんで、この本を推薦したのだろう?
なんで、この本を書いたのだろう?
そう思ったのには理由がある。

辛くて泣いた

12本の短編からなる本。
何度も泣いた。
どの涙も辛くて泣いた。
辛い思いをしながら、本を読み進めるのはあたりまだが辛い。
だからこそ、なんでこの本を推薦したのよ?
作者はなんでこの本書いたのよ?
の疑問が湧いてくる。

なぜ私は辛いのか

社会はおかしい。
目に見えないところで苦しんでいる人がいる。
苦しい、辛いとは声さえあげられず・・・。

私はその声を聞けていない。
その人のことを救えていない。
気付いているふりをして、気付かないように生きている。
だから辛いのだ。

子どもは光

子どもの成長が描かれている。
とても愛おしく、弱々しさと共に光の強さも感じる。
そうするとなお、闇もより暗さをましている。
1話目の「美味しいごはん」はそのコントラストが絶妙で好きだ。
希望で終わってくれたから好きなだけかもしれないが。

沖縄であるということ

沖縄という要素がこの本からは離せない。
沖縄には行ったことがない。
海がきれいで、暖かくて、いい場所だと聞く。
でも、行きたいと本気で思ったことはない。

戦争やそれに続くこれまでの歴史、また基地のことなど、
心に靄がかかる。どうでもいいと手放しに海に飛び込む勇気がない。
広島に行って、原爆のこと、戦争のこと、平和のことを考えないことはできないのと同じように。

逃げさせない

要するに、私は沖縄から逃げてきた。
この本は最後まで読むと腕を掴まれる。
逃げさせない。
沖縄は沖縄ではなく、日本であり、あなたの国なのだと。
あなたの静かな暮らしは、誰かの辛い日常があると。
私が涙した数々のストーリーと同様に。

私はハンガーストライキをしてでも戦うようなことはない。
これまでは。
そうしなければならない状況にならないように、するりするりと逃げてきただけかもしれない。

私の勘違い

選挙に行っているから、
世の中に目を向けていると勘違いしていないだろうか。
毎朝、新聞を読んでいるから、
世の中のことを理解していると勘違いしていないだろうか。
募金箱に1000円札を入れたから、
誰かを救えていると勘違いしていないだろうか。

心沈めて、布団に入る

隣で眠る2歳の息子の顔を眺め、私は布団に入る。





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