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エブリデイ大原美術館 3日目〜ひかる牛〜

今日で3日目。
ここまで2作品しか見ていないが、
二つの作品の前を通る時は、思わず「おはよう!」と声をかけたくなる。
勝手な親近感が湧いている。不思議だ。
徹夜で悩み相談を聞いた友ような感覚がある。(錯覚)

美術館にある絵は、ヘンテコ

もう一つ感じることは、美術館にはヘンテコな絵ばかりがあるということ。
言い方を替えますと、「クセが強い」絵が多いということ。
あ〜きれい〜、すご〜い!
って通り過ぎていく、そこのあなた!!ほんまにそうか?
今日の作品も、とってもヘンテコでした。

アンリ・ルソーの「パリ近郊の眺め バニュー村」

この絵は結構小さい。幅45センチ・縦30センチほど。
立派な額装に入っている。ゴテゴテのアンティーク。
金色にキランと光っている。

額の中の絵は、全体的に地味目。空は薄曇り。
後で気付いたことだけど、空の割合がめちゃくちゃ大きい。
約半分は空。しかも、文字通り何もない空。

小さい絵だけど、少し離れたところから見たくなる。
どんどん後ろへ下がってみる。
部屋が少し暗めだからか、全体像はわからなくなる。
唯一、中央に描かれた「牛」が浮かび上がる。
牛は白くひかっている。
来年は丑年だし、この絵を見て帰ることにしよう。

白くひかる牛には、・・・

牛はかわいい。
太陽を浴びて白く光っている。
茶色い毛の牛なので、
ジャージー牛だろうか?ブラウンスイスだろうか?

角が生えていて、乳がないことから雄なのだろう。
何度も言うが、牛は白くひかっている。
でも、この牛には影がない。
全体的に、この絵には影があまりない。
影は不要だったんだな〜、きっと。

あ、人がいた

少し近づいてみる。
牛くんの斜め前に、こちらに真っ直ぐに向かって座る男性らしき人がいる。
麦わら帽子のようにも見えるが、とにかく帽子をかぶっている。
顔はよく見えない。黒っぽいマントのような服を着て、
左手には長い棒を持ち、赤い(紅い)レンガのようなものに座っている。
牛使いなんだろうか。
それにしては、牛は1頭しかいないのはなぜ?

何よりも、牛くんよりも手前にいるはずなの、体がかなり小さい。
ここにいた人を描いたのではなく、付け加えた感じがする。
この人にも影はない。

あ、干し草の山があった。

人の背後には、干し草の山が二つある。
ディテールはあまりなく、モサモサと山が二つ。
右の山は真っ直ぐ竹の子型に対し、左側は少し斜めになって見える。
乱暴な言い方をすれば、雑だ。
岩のようにも見える。

背景へ

干し草から後ろは林になっていて、大きさもまばらに木が生えている。
木々は緑の陰影とは別に黄色く光っているのか、
それとも実がなっているのかよくわからない。
林から目線を左に持っていくとあらわれるのは、塔。

オベリスク?

先端には人が立ってそうな塔型の何か。
塔の足元は少しアジア(東南アジアとかインド)の雰囲気もある。
ただ、色は濃い海のような色の1色の陰影だけで描かれている。
はっきりとは描かれていない。
すごく遠くにある印象もあるが、距離感的にはそんなに遠くでもなさそう。その割には解像度は低い。
また出現具合が白々しい。
林がうまい具合に切れて見えている。
まるで林が塔を見せるために、避けてくれたかのように。

バニュー村ってどんなとこ?

グーグルマップで調べてみた。

ストリートビューで街を何周もしたけど、
オベリスク的なものは発見できなかった。残念。

パリ近郊となっているが、パリからは本当に近い。
今は、地下鉄も通っている。

ルソーが描いた時代とは違うだろうが、
高い建物も少なく、気持ちの良い場所だ。
広大な墓地があったり、小さな公園もあるが、
緑溢れるというイメージは現在はない。
住みやすそうな感じはする。

なぜ名付けられたのかはわからないが、
パブロ・ピカソ通りなんてものもあった。

目線を下ろすと、川

グーグルマップでは、川を発見できなかった。
流れがほとんどないようにも見えるし、とても速いようにも見える。
川の向こう岸には黄色い花も咲いている。

川の姿は左半分にしか描かれていない。
描かれていないだけで、右半分にも続いているはずなのだが、
干し草と林の間に、川のスペースはないように見える。
詰まりすぎている。川は後から付け加えた?と疑いを持ってしまうほど。

目線は一周する

川から牛くんに目線は戻ってきたかと思いきや、
画面左手の1番手前に、最後の登場人物が現れる。
これまで見てきたどの対象物より解像度の高い木がある。
しっかり影を描き、立体的だが、実物感は、やはりない。

大きさは、牛くんとの比較をすれば、
胸丈くらいの樹木で、黄色い花か実をつけているように見える。
人との比較をすれば、背丈くらいの大きさだ。
相対的なバランスはどうでもよかったのだろう。

牛くんから始まった左回りのバニュー村の旅

牛くんの神々しさに惹かれて始まった旅立ったが、
結局何だったのか。
全て架空の想像上のものを並べたような感覚がある。
ルソーはバニュー村に行かずに、描いたのではないかとさえ疑ってしまう。

ルソーは牛好き?

ルソーは他にも牛を描いた作品をいくつか残しているようだ。
でも、やっぱりこの作品が1番、ヘンテコだ。
ヘンテコだけど、どの牛よりも1番かわいい牛を描いている。

エブリデイ大原美術館 2日目はこちら

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