見出し画像

不確定日記(湿度の底)

 梅雨の屋外は、降っててもそうでなくても空気が限界まで水分を含んでいる。
日記を書いていない間にグループ展に参加したり、浴衣を着たり、雨に降られたり、ベランダーのプランターになったプチトマトを鳥に食べられたり、「出来事」は多くあり、書いておけばよかったと思うが、全体的には「蒸し暑かった」という感覚にすべて覆われている。

夢をふたつだけ書き留めていた。


 作業場で皆何かしている。私は本を一冊校正してデザイナーさんに渡す約束だが、何度もただ読んでしまう。付箋すら持っていない。雑誌のような、大きな見出しや細かい商品の紹介がある。「今日は持って帰ります」と責任者に言うが、今日中の仕事だったようだ。データをメールで送れば間に合うだろうか。
 誰もいない日本家屋の雨戸を開けて入り、地下のプールの向こう岸に置いてある木の物置に入っている汗止めを塗る。今日はもう3回目だ。棚にある何かの金具をバラしてしまう。脇にバームを塗って戻し、プールサイドを戻り、雨戸の隙間から往来に出る。古い木材は角が丸く、触り心地が良い。責任者が通りかかる。しまった、と思うが彼女は思ったよりも優しい。私はまたすぐここに来てしまうだろう。

遅刻する。教室は広大で席は埋まっている。右側に吹奏楽部の席があり、部員を募っている。ホルンを抱えた学生が1人座っている。大柄の母を連れた学生が、ギターを試し弾きすると、黒板に歌詞が現れる。いちばん前の席に滑り込むと携帯に母からの不在着信をみつけるが、もう授業が始まる。隣の席の友人が、「本当に餃子とか作ってくれるの?」と聞いて来る。いいけど、筆箱とって来る、と言って姿勢を低くしてロッカーまで行く。大きなリュックを背負った人とすれ違う

「起きたときに、あ、怖い、と思ったが、悪夢を見たわけでも何かを忘れているのでもなくて、ただ寒くて足が縮こまっているのだった。感情と体調を混同している。」
とSNSに書き込む。先週暑くて眠れなかったので、夜に冷房をつけている

そんな奇特な