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不確定日記(マスクと輪郭)

休日の表参道も渋谷も新宿も、いつもより少し少ないにせよ人は大勢いる。行列の先は流行りのお菓子かと思いきやおしゃれなマスクを売る店だった。
車内や雑踏も、しんとしている気がするのはマスクのせいだろうか。
マスクは小さい布なのに、個室みたいだ。あたたかく、自分のにおいがして、公共と距離を取れる。そうして街を歩く。口紅を物色しに行こうかと思ったが、億劫でやめた。

日記を書いていない間には、日記に書くようなことを沢山した。シルクスクリーンの工房に行き、またタコスを作って売り、仕事の打ち合わせに行き、資料用の写真を撮りにゆき、隣の県の公民館で釜飯とちくわぶを作った。書き留めておかないそれらのことは、数日で輪郭がぼんやりしてくる。慌てて移動中も街のスナップを撮り、スケッチに起こした。目と脳はいい加減なので、写真には私が見ていなかったものが多く映っている。それを描き起こすのは、日記というよりは別の世界の観察に近い。
手作りの硬いちくわぶはおでんにして2日目のグズグスなのがおいしかった。


そんな奇特な