不確定日記（外敵と寂しさ）

タコスの写真を撮らなかった。
人に出す料理をするときは喋ったり取り分けたりに注力するので写真を撮り忘れがちなのだけれど、今回は特に手がベタベタだったからだ。

とうもろこしの粉と小麦粉を混ぜたトルティーヤに、スパイスに浸けてから焼いて出た脂とオレンジジュースで煮込みながらほぐした豚バラ肉の脂と、トマト玉ねぎコリアンダーに青唐辛子のサルサソースが滴るのがどうしても防ぎきれなかった。余っていたチリコンカンとワカモレはお好みで。

漫画家は漫画の話が好き、と言われて、そういえばそうだなと思う。

私の部屋は路地にある割に人通りも多く、外の音が入ってきやすいのに慣れてしまっているけれど、物音がするたびに友人のひとりが実際にはいない侵入者に怯えていたので、私ももう少し気を張るべきだろうか。
そういえば一人暮らしを始めたときは部屋に慣れなくて眠れなかったり、外からの視線が気になって窓際に寄らなかった。
人が帰っていって、数メートル先にまだ気配を感じながらドアを閉め、内側から鍵をかけるのはいつも少し後ろめたい。