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不確定日記(クミンの幽霊)

 もう夕方なのに、友人たちはみんな消耗した顔で玄関を入ってくる。まだ外気がだいぶ蒸し暑い。我が家が駅から遠くてごめん、と思う。一番早く着いて、まだ料理を並べる前のテーブルで仕事をしていたTちゃんが、「クミンのにおいがする」という。クミンはこれから使うつもりだが、まだ棚から出してもいなかった。

 ぽつぽつと皆が集まり、手土産を受け取って冷蔵庫に入れたり、氷がないからすぐそばのコンビニで買ってきてもらったりする。パートナーのいる人たちの話には、それぞれ越しにぼんやりと像を結ぶ各パートナーがいる。彼らに私もそのように見えているだろうか。

作った料理は、
プラムとモッツァレラにバルサミコ酢とオリーブオイルをかけたもの
塩もみズッキーニゆかりあえ
春雨とイカと野菜を塩レモンと胡麻油などで和えたサラダ
鰹の刺身にニンニク、鷹の爪、クミンたっぷり、カレーリーフを入れて熱したオリーブ油がけ
しそワンタン
白キクラゲときゅうりとピーナツの和え物
ビビン冷麺

 ゆかりが手作りなことに驚かれたが、あれは梅干しの副産物としてできてしまうものだ。鰹の刺身にかける油を熱していたら、Tちゃんが「やっぱりこのにおいだよ」という。おそらく数日前に別の客人に出した時のにおいが残っていたのだが、部屋の角にずっとクミンのにおいが潜んでいるのは幽霊的だ。ホラーの話も少しした。皆がかわるがわる皿を洗ってくれて、お土産に用意していた梅ジャムを忘れて帰った。

そんな奇特な