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子供の頃はそれが幸せだと気づかずに

家族とする何気ない会話、友達と毎日顔を合わせてまた明日と手を振り合ったこと、弟の漫画を借りて読むこと、部活で肌を日焼けして袖から覗く境目がはっきり分かれたこと、おばあちゃんの畑仕事を手伝った時の土の匂い。

18年過ごした地元を離れる時は、新しい世界へのワクワクでいっぱいだった。新しく出来た友達、初めての恋人、学びたい分野の勉強、あっという間に大学4年が過ぎた。

社会人になると地元へ帰省する機会がぐんと減った。年に何度か会った時に交わす会話。

その時にふと、父の白髪がこんなに多かったかなと気づく。母の手に刻まれるシワ、祖母の小さくなっていく背中。変わらないと思っていた地元の風景も少しずつ変わっていく。

子供の頃は代わり映えのない日々を過ごす事が退屈に思えた。

いま思い返すと、当たり前の日常が愛おしくある。思い出だから美しく思えるのか、幸せだったから思い出として残っているのか。


どちらにせよ時が経ったからこそ振り返ることができるものなのだろう。




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