「共有」「連携」「報告」の価値観と使い分け
ビジネスの現場では、適切な言葉選びをもとにしたコミュニケーションが重要です。使用方法が誤解されやすい言葉に「共有」「連携」「報告」の使い分けがあります。これらの言葉は、相手に与える印象や関係性にも影響を与えるため、その使い方はもとより、前提となる価値観を養うことには価値があります。
この度は、「共有」「連携」「報告」といった使われやすい表現について、同僚・チームメンバー・部下・上司・クライアント・協業先を例に、それぞれに対する適切な言葉の使い分けと、その背後にある価値観について検討します。
同僚に対するコミュニケーション
同僚とは対等な立場である為、情報の「共有」は日常的なものです。例えば、プロジェクトの進捗状況や新しいアイデアなどを共有することで、相互にサポートし合い、チームのパフォーマンスの向上を図ります。
・共有:「最新のデザイン案を共有しますので、確認をお願いします」
・連携:「◯◯のタスクについて、連携して進めましょう」
・報告:同僚に対しては「報告」というよりも「情報提供」や「更新された情報の連絡」の意識が適切です。「進捗をお伝えします」
チームメンバーに対するコミュニケーション
チームメンバーは、共に目標を達成する仲間です。ここでも情報の「共有」は重要ですが、同僚よりも「連携」の視点が重視されます。連携することで、各メンバーの強みを活かし、効果的にプロジェクトを進めます。
・共有:「ミーティングの議事録を共有します」
・連携:「次のステップに進むために、具体的な役割分担を連携しましょう」
・報告:「この部分の進捗を報告します。次の工程をもとに、確認をお願いします」
部下に対するコミュニケーション
部下に対しては、指導や指示が含まれるため、「共有」や「報告」だけではなく、明確な指示やフィードバックの視点が求められます。「連携」も重要ですが、部下に対しては特に「報告」の双方向の実施を意識する必要があります。
・共有:「この資料を共有しますので、参考にしてください」
・連携:「このプロジェクトでは日次で連携し、具体的なタスクをもとに分担しながら進めましょう」
・報告:「進捗を報告してください」または、「◯◯の結果を報告しますので、具体的な取り組みについて検討しましょう」
上司に対するコミュニケーション
上司に対しては、敬意を持ったコミュニケーションが求められます。「共有します」という表現はややカジュアルであるため、「共有させていただきます」や「お伝えします」といった丁寧な表現が適切です。「報告」は特に重要であり、適切なタイミングで、正確な報告が求められます。
・共有:「最新のデータをお伝えします」
・連携:上司との「連携」は、サポートや指導を仰ぐ場面で使われます。「この点について、ご指導いただけますと幸いです」
・報告:「現在の進捗を報告させていただきます」
クライアントに対するコミュニケーション
顧客に対しては、プロフェッショナルかつ、丁寧なコミュニケーションが求められます。「共有します」という表現は避け、「ご案内いたします」や、「ご報告させていただきます」といった敬語を使用することができます。
・共有:「最新の提案内容をご案内いたします」
・連携:クライアントとの「連携」は、受託するプロジェクトの成功に向けた協力関係を築く際に使われます。「今後のステップについて連携させていただけますと幸いです」
・報告:「プロジェクトの進捗状況をご報告させていただきます」
協業先に対するコミュニケーション
サービスを共にするパートナーは、対等な立場で協力し合う関係です。「共有」「連携」「報告」のいずれも重要ですが、特に「連携」がプロジェクトの成功には不可欠な要素です。情報共有も頻繁に行いながら、両者の間で円滑なコミュニケーションを維持することが求められます。
・共有:「関連資料を共有させていただきます」
・連携:「◯◯について、連携を強化しましょう」
・報告:「最新の進捗状況をご報告いたします」
まとめ
1. 共有(Sharing)
視点:情報や資料を他の人と分かち合うこと。
目的:知識や情報の共有により、関係者の理解を深める。
2. 連携(Collaboration)
視点:複数の人やチームが協力して目標を達成すること。
目的:効率的に共同作業を行い、シナジーを生み出す。
3. 報告(Reporting)
視点:上司や関係者に対して業務の進捗や結果を伝えること。
目的:現在の状況を正確に伝え、必要な意思決定をサポートする。
ビジネスの現場におけるコミュニケーションにおいて、「共有」「連携」「報告」の意味合いを認識し、適切に使い分ける視点を持つことは重要です。相手に応じた適切な表現を使うことは、プロフェッショナルな印象を与え、円滑なコミュニケーションを促します。特に、上司やクライアントに対しては、丁寧な言葉遣いを心掛けることから、信頼関係を築くことができます。わずかな違いのようですが、タイミングを誤ると「共有」との表現はどこか他人事のような印象を与える可能性があり、「報告」は、重要性を伝え確認を促します。
この度は、各用語のもつ価値観をもとに、適切使い分けの視点を共有させていただきました。
それぞれの視点や伝わり方の理解を、日々の業務に活用いただけるようであれば、幸いです。❀
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