稽古場030902

言言 『蛇と天秤』 演出ノート2

稽古初日からここまで、2日に1回のペースで、30時間ほど稽古。

立ち位置、動き、表情、セリフの言い方(強さ・スピード・間)、それらの一般的に「演出」と思われがちな「振付」は一切行っていない

ただ愚直に「どういう意味なのか」を探りつづけている。これは簡単なようで難しい。単純な読解じゃなく、細かく分解している感覚。深く考えて、根っこを掴むことが一番大事だ。振付的な演出を正確に再現してもらうのではなく、前記事で書いたとおり、俳優自身が獲得した感覚への道筋を確実に通ってもらいたいためだ。

稽古場5

俳優だって人間だ。(人に非らず、優れたもの。と漢字では表されるけど)表出されるものは、日々異なったりもする。その日の天気、自分の体調、相手役のテンションetc、いろいろ影響を受けて、変化する/してしまう。

だけど戯曲は変わらない。いつも同じセリフを同じ流れで言わなければいけない。振付的演技を毎回再現しようと試みたとて意味が伴わなければ無駄なのだ。根っこをはっきりと掴めるように、余計なものを取り払っていく。

俳優陣もだんだんシンプルになってきた。目指すべきカタチと演技の共通認識が生まれつつある。建設的で、良い稽古場だ。

稽古場030904

稽古場で写真を撮り、家でraw現像していると、どういう芝居に自分がしたいのか浮かび上がってきたりする。コントラストが強めで、質感がざらついていて、カラーでもモノクロでもいける画。少しだけ感じる違和感が積み重なって、最終的には重くのしかかる。そんなお芝居になりそうな予感。

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早く通して流れを確認したいし、俳優だって通したいはずだ。でも決して焦らない。無理しない。目の前の問題が解決されてない状態で通したら、その問題は曖昧になってしまう。なんとなく、良い感じに、誤魔化せてしまう。それが嫌なのだ。最後までとにかく丁寧に、愚直にやるしかない。その方針を尊重してくれる俳優陣には感謝しかない。

とはいえ、本番は刻一刻と近づいている。気づけばあと2週間で本番だ。憂慮すべきことはまだ尽きないけど、公演できると信じて創るしかない。モチベーションは高い。間違いなく良い作品に、する。


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稽古場は手洗い・うがい・アルコール消毒を推奨ではなく義務としました。新型コロナはもちろん、インフルエンザや風邪にも気をつけなければ公演は実現不可能になってしまいます。いつも通り&当たり前のことですが、一人も欠けることが許されないので、俳優陣は心身のケアに努めております。

そして言言から正式に表明がありました。ご一読いただければ幸いです。

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