見出し画像

2021年1月7日、「大人の味 チョコレート革命」

朝の通勤時、耳よりも大きい銀の輪のピアスをした女性を見て、ふと

「『不倫はアート』だな…」

と思った。


耳よりも大きな耳飾りを下げて「不倫はアート」と言い切れる友

これは、俵万智の著書『チョコレート革命』に収められている短歌である。

「俵万智」といえば中学生・高校生の頃の私にとって、国語のテストで「『サラダ記念日』の著者を答えよ」の時に書く名前の人だった。


中学生の頃に使っていた国語の便覧には芥川龍之介など「すごいけどすでにこの世にいない人」だけでなく、「存命かつすごい人」が載っていて、私の中でその代表格が俵万智だった。

国語の便覧に載るほどすごい人、の作品というのは「すごいから読んでみたい」というよりも、「すごいから(作品が)難しそう」と感じていて、敬遠していた。だから、「とりあえず名前を覚えてテストで出たら書く人」だった。古典か。



大学生になり、図書館でなんとなく手に取った俵万智のエッセイ『101個目のレモン』にはまったのをきっかけに、短歌集も少しずつ読みはじめた。

そしてついに、代表作『チョコレート革命』を買った。

きっと現代ならもうないであろうカバーデザイン。私が生まれた年(1997年)に発売された。2年ほど前に中古で買ったため、きっと誰かの心を満たして、私のもとにきたのであろう。

さりげなく家族のことは省かれて語られゆく君の一日

妻子のいる男と、男女の関係になってしまった女。節目がちか、または目線を外しながら、男はきっと休日に何をしたのか話したのだろうな…


「切ない」という気持ちは、きっと大人になったからわかるのだろう。

『チョコレート革命』を読み返すたび、私はもう大人になってしまったのだと感じる。

2021.1.7

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?