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Ryuichi Sakamoto: CODA

2018年に公開された坂本龍一のドキュメンタリーフィルム。
2012年東日本大震災後、瓦礫の中から出てきた一台のピアノからフィルムは始まる。坂本龍一による東日本慰安公演、原発再稼働反対運動、そして癌との闘病。残りの人生に向かい合わざるをえない坂本龍一の心境に寄り添いつつ、過去へ向かってフィルムは綴られていく。

YMO、大島渚との「戦場のメリークリスマス」、多大な影響を受けたという「惑星ソラリス」、そして「ラストエンペラー」。ベルトリッチ監督から「このイントラは気に入らない。書き直してくれないか?」と言われ、「すでにオケで録音中じゃないか、無理だ」って坂本が答えると、ベルトリッチが一言「エンリオモリコーネならすぐやってくれた。」そのエピソードを振り返って、坂本が「そういえば、俺が断らないことを知っているんだ。そして、オケに30分だけ待ってくれって言って、最高のイントラが生まれた。」という。教授、かわいすぎるだろ。

フィルムはさらに続いていく。音楽はもともと自然にあるもの。それを掬っているだけ。楽譜なんてできてたかだか1000年。楽譜よりもっと昔から音楽はあった。坂本龍一はどんどん音楽の根源に向かっていく。最初の人類と言われるアフリカの音楽には特定のリズムしかないこと。人類が最初に聞いた音楽へと向かっていく。教授にとって音楽は人類・歴史、それ以上の地球、宇宙さらにその前まで遡るような遠大で途方も無いものなのだろう。このアプローチは誰でもできるわけではなく、相応の覚悟と才能によって成し遂げられている。

細野晴臣の『NO SMOKING」を見たが、細野さんにとっての音楽は人生の調味料であり、日々生きていく人たちにとって、よりいっそうの味を与えるようなあくまでエンタメとしての存在と考えていたと思う。教授にとっての音楽の捉え方、考え方とは違うのだろう。私個人は細野さんの考えに共感が持てる。ただ、根源の音楽、そんなものがあるのならば、聴いてみたい。教授の深淵を覗くような途方も無いアプローチこそが偉大な音楽家にしたことは間違いない。もちろん細野晴臣も偉大な音楽家である。

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