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将太の寿司読んだよ

 年末年始、将太の寿司を読んでいた。年末といえば寿司だ。大晦日……お正月……日々の労働に差し挟まれたつかの間の休日……どんな社畜でもお正月には、その油にまみれた手を休め、家族とこたつを囲んで団欒する……。のどかな日差しの中、外を駆ける子供の声を耳にして、なにかの移り変わりに思いを馳せる。年末年始は祝祭めいたハレの雰囲気に満ちている。そんな日には寿司がふさわしい。

将太の寿司には人生という荒野を生き抜くための含蓄が満ちていた。以下、将太の寿司を読んでわかったことを記す。

・築地は二時からやっている。
 寝ている暇があったら目利きの練習に築地に出かけなければならない。地道な努力が実を結ぶ。

・コンディションを整えろ
 タバコやモンスターエナジーをやると匂いが移り、魚の繊細な味わいが損なわれるので絶対にやってはいけない。

・すべての要素に気を配れ
 一見寿司とは関係がなさそうなものでも、お客様にお出しする以上何一つ気をぬいてはならない。寿司を構成するすべてに気を使わなければならない。シャリ、シャリを作るための酢、水、ワサビの気持ち、ガリ、お茶……そういう脇役のようなものでも、ないがしろにすると寿司は台無しになる。お客様を侮ってはならない。お客様は少しの油断……調和の乱れにすぐ気づく。

・物語を握れ
  いかにマニュアル通りにお寿司を握っても、減点がないというだけで味気ないものになる。そこから先の世界では、お客様のためにどういう物語を握るかが試される。
 結婚する幼馴染への祝福を握ったり、母親のために寒さに耐えてネギを育てたが、死んでしまった息子の想いを握ったり……誰かによる誰かへの祈り……そういったものが握られたとき、お寿司は完成する。寿司職人たるもの、誰のための綾織なのか、常に問い続けなければならない。

・簡単に見つかるオアシスは蜃気楼
 基本的に大量生産で作られたものはまずい。養殖より天然、大量生産品より職人がひとつひとつ心をこめて作った素材を使ったほうがいい。熱せられた砂を掘り、指先の痛みに耐えて見つけた湧き水だからこそ魂を潤し、止まりかけたキャラバンの背中を押す。


 そんなわけで翔太の寿司おもしろかったです。みんなも読もう。
 ここに書いたのはほんの一握りで(お寿司だけに)、翔太の寿司にはまだまだ人生訓が隠されている。続きはきみの目で確かめてくれ!

 つまり……残りはまだ混沌の中……それが、ドロヘドロ!!


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