盆(山梨旅行に行ったよ)


■山梨前



・Mの家に行った。

・猫草をエサと水のあいだに設置した。一週間毎日水をあげ、育てたものだ。水をやるその役目を果たせば育つ無印良品の猫草栽培キットだ。三日目までは芽も出ないしほんとに育ってるのか疑心暗鬼になったが、無事もさもさになった。ねこたちも食べてくれることだろう。

・ねことあそんだ。ねこA、Bともに警戒しているのかしばらく姿を見せなかった。私の匂いになれさせるのが肝要だ。嫌な印象を与えないよう、騒音を出さないよう細心の注意を払ってねこに近づき、メガネのつるを鼻に近づけた。これはねこヘルパージャクソンギャラクシーの動画で学んだねこと仲良くなる方法だ。ねこAは怯えた様子だったが、ねこBは興味深けにクンクンしていた。その後ねこBのみみの付け根をぐにぐにと揉んだ。ねこBはそうされるのが好きらしい。ヘッドスパである。頭が凝っているのだろうか。

・バカリズム脚本の架空OL日記を見た。ブラッシュアップライフもそうだったが、やたら雑談がおもしろい。絶妙なあるあるのつるべうちだ。実際にはバカリズムの生活からかけ離れたOLの話なので、あるあるというより「ありそうありそう」なのだが、Realがある。たしかな観察眼と想像により世界が作られているように思えるが、どうやって取材しているのだろう。交友関係だろうか。バカリズムはきっと、友だちにいたとしたら自分がおもしろくなったと勘違いさせるような人物なのだろうとも思う。

・スーパーで鍋の具材を調達し、鍋を作った。夏は鍋。クーラー効きたる部屋でアツアツのスープをすするはいとおかし。雑炊もまたをかし。Mが作る雑炊はやたらとうまく、やさしい味がした。焼き鳥屋の〆に出てくるおいしい雑炊を思い出した。

・ねこと遊んだ。いつしかねこBがよってくるようになった。頭をこすりつけたり、頭をかたむけて私の手のひらに乗せ、みみの付け根モミモミされ待ちをしたり、いったりきたりしながらお腹をもふりと私の足になでつけてきた。そのたびに頭をもんだり釣り竿やねこじゃらしで遊んだりしていると、すぐにねこBは私にまとわりつくようになった。釣り竿の先に羽と鈴がついているおもちゃがあり、ねこフィッシングをたのしめた。ねこBは私が飽きるまでおなじ動作を繰り返しており、どことなく哀れさを感じた。


⬛︎山梨に行った


・車でいく予定で、かなり離れており、お盆という時期もあって12時間くらいかかってもおかしくないと思ったので、前日は睡眠薬を使って20時に眠り、次の日の朝4時に出発した。しかし、時間がめちゃくちゃかかるかも……という懸念は杞憂で、滞りなく高速を走ることができたので、10時には山梨に着いた。ホテルの時間まで余裕があったので観光をすることにした。

・河口湖に行った。この周辺が渋滞していた。山梨は観光名所や富士急へいくためにはやたらと河口湖に向かわされ、つづら折りの山道や長いトンネルを通らされる。交通量が増えると渋滞になるのもむべなるかなである。渋滞に巻きこまれながら膀胱がピンチを迎え、このコンビニに入るぞ!と思って左折したところ、流れで通り過ぎてしまい再び渋滞のトンネルに入ったことが印象深かった。何度も車内のペットボトルの形状を確認した。(私はよく流れで目的地を通り過ぎる)

そんなこんなで河口湖にたどりついた。車を降りるとスワンボートのりばでお兄さんが物欲しそうな顔をしており、せっかく池に来たしな、ということでスワンボートに乗った。モーターもない素朴な足漕ぎ式で、思ったよりも足への負担が大きく、絶望した。十分ほど漕いで振り返ると、私たちのスワンボート乗り場は他の乗り場よりも寂れているように見えた。ときおりモーターボートや遊覧船が隣を悠々と通り過ぎて波を立てた。そのたびに私たちはゆらゆらと翻弄されることになった。遊覧船の上の人々は必死にペダルを漕ぐこともなく、風に髪をそよがせ、ガイドさんの案内に耳を傾けながら楽しげに遠方の富士を眺めている。私たちのことなど見向きもしない。これが格差社会である。
沖まで出れば(沖?)富士山が見えるという船着き場のお兄さんの言葉を信じて漕ぎ続けたが、河口湖は山に囲まれすぎてどれが富士山かわからなかった。Googleマップで方角を確認した結果、あの雲でよくわかんない山が富士山かなあ……という感じで帰ることにした。近くで白鳥を見れたのはよかったと思う。

・ロープウェイで山の上に行った。ここも外国人観光客で賑わっており、40分ほど並んだ。高いところは好きだ。位置エネルギーだけが私の日々の労働で傷ついた心を癒してくれる。やはり富士山は雲がかかっていて見えなかった。富士山を仰げるブランコや陶器を投げてもいい場所を尻目におみくじを引き、帰った。小吉だった。

・焼肉
河口湖を満喫した我々は車に戻った。Mはすでにへとへとになっており、映える喫茶店かいい感じのところで休憩を、ということで適当に車を走らせた結果、焼肉にいきついた。ハラミとロースとクッパを食べ、満足した。


・忍野八海
時間がまだあったので忍野八海へ向かった。少し前、YouTubeの「おすすめスポット紹介」的な動画ではじめて知った程度の場所だったので油断していたが、観光客だらけだった。出店も出ており、ここで食べ歩きすればよかったねとMと笑いあった。忍野八海はなんでも富士山からの地下水がなんかいい感じに濾過されてわきでている場所であり、透明度が高い池をたのしむことができるらしい。たしかに水深8メートルの池は底まで澄んでおり、日本の蒸し暑い夏にちょうどいい清涼感をもたらしてくれた。富士山の水に触ることもできた。ひんやりと冷たい水は気持ちよかった。のちの富士急でも水は冷たく、気持ちよかった。正直富士山の水と遜色ないくらい気持ちよかったので、これだけ水が冷たくて気持ちいいならトイレの水道水でもなんでも富士山の水だなと思った。忍野八海には他にも六個ほど池があるらしく、菖蒲の池やお釜の池などをまわったが、そちらのほうはだいたい澱んでいた。(Mはお釜池のことをお盆池と間違えていた)

・われわれはホテルへ向かった。

⬛︎富士急ハイランド 


次の日、朝から富士急ハイランドへ向かった。本命である。今回の旅行も、Mが慈急総合病院という50分かかる国内最大級のおばけやしきに行きたがったことから計画されたものだった。
朝9時という比較的早い段階に入場した。目玉急の絶叫マシンはすでに長蛇の列ができていたが、朝がいちばん人が少ないため、行きたい優先度が高く、かつのちのち人が増えそうなアトラクションへ朝のうちに行っておくべきだと事前に話し合っていたが、ひとたび遊園地に突入するとテンションがあがってしまい、その場のノリとライブ感でアトラクションに乗っていった。

・パニックロック
いわゆる前後に揺れるバイキングを時計の針に見立てたバージョンである。遠目だと一回転は一回しかしていなかったように見えたので、Mにそのように伝え、乗りこんだら、六回転くらいさせられた。Mが隣で死を感じていた。Mはリスクが苦手な生き物なので、悪いことをしたと思った。

・コーヒーカップ
コーヒーカップでまったりしながら次なるアトラクションを考えることにした。パニックロックで負ったダメージを癒す目的もあった。なにやら異世界系のなにかとコラボしていたようで、コーヒーカップをまわしていると声優のボイスが煽ってきた。

・ぐるぐるブランコ
Mがこれなら乗れる、というので、ブランコに乗って高いところで回転するやつに乗った。私はこれがいちばん怖かった。安全装置は、ブランコを支える二本のチェーンに沿って下げられる横バーしかない。固定もされないので、もしかすると私は突然バーを外して飛び降りてしまうかもしれない。私に裁量を委ねられている安全装置がもっとも恐ろしい。何人もの人を殺していても、点検されたドドンパのほうが私よりは安全だと思える。

・NARUTOのシューティング
三重生まれスペイン村育ちの私はアルカサルの戦いのようなものを想像していたが、スリーディー眼鏡をかけ、乗り物に乗り、スクリーンの映像にむかってなんか引っぱるやつを引っ張って手裏剣を投げる形式のものだった。乗り物はレールもなしにいい感じに動くので科学と技術の発達を感じた。最後以外は私のほうが得点が高かったのだが、配点が高い最終面でMにまくられてしまった。

・10円パン
屋台で売っていた。特別なものらしい。かぶりついた10円からチーズがびろーんと伸び、資本主義の腐敗を思わせた。


・慈急総合病院
そんなこんなでお化け屋敷の時間が迫ってきた。総合病院は入る時間のチケットを事前に購入しておく形式で、私たちは12時の部と16時の部を購入していた。二回も行くのかよ。休憩がてらビールを飲むなどして、だらついたあと病院へと向かった。(謎解きアトラクションはヒールでは参加不可だったため、私がスリッパを取りに一度車まで戻るという事件もあった)

実際の病院内をお化け屋敷に改造しているらしく、雰囲気は抜群である。病院に入る前から、ユーズド加工された不気味なバス停や門があり、気分を高めてくれる。壁には人殺し院長の指名手配ポスターが貼られている。しばらく待機し、案内される順になったので、ひんやりとした空調の聞いた病院内へと向かった……。

内容はネタバレになるので割愛するが、Mが怯えすぎて足が固まってしまい、後続の少年グループに一度抜かされ、さらに後ろのカップルに抜かされるか抜かされないか、という微妙なラインで進むことになった。追いつかれすぎると、びっくりさせる要素のネタバレになってしまうので、抜かされるなら抜かされるし、抜かされないならそれなりに距離を取らなければならないなと思い、微妙に気を遣いながらMを操作し、病院内を進んだ。実際の病院内を探索させられるだけあって、階段が多く、階段が多かった。病院から連想されるような不気味な要素はひととおり抑えており、規模の大きい仕掛けもありたのしかった。満足である。

・絶望要塞
これがヒールでは参加できない謎解きアトラクションである。私たち以前に十三万人が挑んだがクリアできていないらしかった。やってやるぞと意気込むよりも、そのクリア率は悪問なのでは、という疑問のほうが強かった。待機列の両サイドに、プロレスのリングのようなものがあり、片方はモニター、片方は巨大なだるま落としが設置されており、それぞれステージ4,末t-じ5と書かれていた。だが60分ほどの待ち時間のあいだ、ステージ4に現れるものはいなかった。つまり誰もステージ3すら突破できていないということである。待ったあげく、最初のステージで失敗し、五分くらいでゲームを終えることになったらどうしよう……と不安が募った。私たちの番になり、説明を受けた。思い切りイカゲームとか神様の言うとおりのようなデスゲームといったていで、最初のステージはふたつのゲームをやり、合計100ポイントに到達していればクリアということだった。この時点でゲーム時間は担保され、私はほっとした。
最終的に私たちはステージ1をなんとかギリギリクリアし、ステージ2で敗退した。おそらく1時間半くらい遊べたのでよかったと思う。

・高熱
そんなこんなで次は何に乗ろうかと見ると、すっかりアトラクションはどれも60分待ちやらなんやらになっていた。観覧車も高熱で動いていないらしい。そんなこんなで夕方の部の病院を待ちながら休憩することにした。
その後観覧車が動いたが、そのときには二回目の病院の時間が迫っていた。

・病院(二回目)
並んでいるとき、海外の方に話しかけられ、「アッアッ」と返事するイベントをこなしたあと、(このイベントはよく発生する)、病院に入った。
ふたたび、階段を上がり、移動し、階段を上がり、階段を下り、階段を下り、階段を上がり、階段を下り……。
Mも一回目ほどは怯えてはいなかったが、「そろそろあれが来るから……」と予断なく予習復習をすることで精神統一を図っていた。ときおり一回目とは違ったサプライズポイントがあり、Mはまた悲鳴をあげていた。

病院から出ると5時になっていた。次は進撃の巨人のVRライドに行こうか、などと話していると、何やら園内の様子がおかしくなった。絶叫マシンが動いていないのである。雷雲の接近により運行を中止しているらしかった。そんなこともあるのか。進撃の巨人ライドは数少ない室内ライドであり、雷の影響もない。運行も継続している。となると、園内の路頭に迷った人々がこぞって進撃ライドを訪れることになる。そう気づいたときには遅かった。われわれは進撃ライドの前で二時間待ちの表記を見て立ち尽くし、トボトボとレストランに入った。

・絶望
ほとんどのアトラクションが動きを止めてしまった。雷雲が来ているということは雨も降るかもしれない。私は八時半からの花火&ドローンショーを楽しみにしていたが、それも行われるか怪しい。Mも露骨に帰りたそうな顔をしている。階段の上り下りでふたりの足はボロボロだ。だが私は絶叫マシンにのりたかった。
もうちょっとだけ待とうよ、と言いながら、私たちは再開を待った。NARUTOのキャラといっしょに写真撮影ができるやつにも入り、時間を潰した。(けっこうたのしかった)
Mは再開を期待しておらず、私が諦めるのを待っている素振りを見せていた。付き合うが、これからの時間は私が自身の気持ちと折り合いをつけるための時間なのだ、と言いたげな様子だった。水をMのもとに届けると、気まずい沈黙が降りた。私は祈ることしかできなかった。

・再開キメウチ並びマン
そんなこんなで六時前、「ナガシマスカ」の運行が再開し、続いて「ええじゃないか」の運行再開が告げられた。もしかしたらこれはチャンスなのではないかと思い、私は絶叫マシン「ZOKKON」の列へと歩を勧めた。ZOKKONはまだ再開していないが、再開キメウチ列待機だ。だが奥までいくと同じようにキメウチしているものが犇めいていたし、絶叫マシンに乗ったことがないMには難しそうだったため、引き換えした。目玉級の絶叫マシンに乗るならばファストパスだ。
そんなこんなでFUJIYAMAの再開がアナウンスされた。祈りが通じたのだ。Mも誘ったが、断れれたのでMを喫煙所に残し、ひとりでファストパスを買い、列に並んだ。三時間待ちの一般人たちを尻目に十五分ほどで乗ることができた。FUJIYAMAは縦回転こそないが、国内最大急のコースターらしい。労災対策のようなのもあり、お姉さんの安全の言葉を復唱させられた。コースターがはじまるとぐんぐん高度があがり、あっという間に75メートルの高度に達した。左右のはるか下方には小さくなった園内。遠くには雲がかかった富士山が見えた。涼しい夕方の風が安全バーで固定された体を吹き抜けていく。降下がはじまった。三分三十秒。縦に横にひねりにと、すさまじい速度で繰り出される絶叫体験は想像以上だった。正直むち打ちにならないか心配で、横方向の力が加えられるときはシートに頭を押し付けるのに必死だった。私は高いところが好きなので、しばらく高いところで止まっていてくれたほうがうれしく、アップダウンやゆさぶりはあんまり求めてねえな……と気づいた。上下はいいが、レールがひねっている部分が怖かった。脱線しそうで不安だった。

終了後、喫煙所の前でぐったりしていたMと合流し、ドローンショーの時間を待つことにした。ほとんどのアトラクションはすでに終了しているか、いま並んでいる人で終了し、新規の受付がなくなっていた。だらだらとおしゃべりをしたりしなかったりして、何かもうひとつくらい行けるところないかなあとMにアプリを入れてもらい、見てもらったところ、鏡の迷路がまだやっていて、待機は0分だった。しかしあと十分で終了だ。

・ミラーメイズ
ミラーメイズは前からMが行きたいと行っていたアトラクションだった。リサとガスパールという海外の絵本がモチーフに作られていて、それが好きなのかと思ったが、「US」という映画を見てからミラーメイズに入りたかったらしい(印象的なミラーメイズのシーンがある)。
Mはくたくたでボロボロになった足をふるいたたせ、ミラーメイズへと急いだ……(Mは途中のアスファルトの裂け目に足を取られ、転んでもいた。かわいそう)
これが大当たりだった。謎解きが好きな私から言わせると、絶望要塞よりもミラーメイズのほうがよほど謎解きらしかった。ただの迷路だと思ってうろうろしていても出られず、自分の先入観をうちやぶり、ちょっとしたひらめきを得なければならない。このひらめきが三工程ほどあり、満足度がたかかった。おそらく二十~三十分ほど時間がかかった。

・花火&ドローンショー
これもよかった。十分ほどのショーということだったので油断していたが、無数のドローンがネオンのように、園内の絶叫マシンやトーマスの形を作る。いったいどうやって空中に静止しているのかわからないが、はじめてみるものだったので感銘をうけた。花火も思った以上の数が打ち上がり、われわれはすっかり満足した。あとは帰るだけだ。

・高速ツアー
だが行きでさえ六時間かかったことを私たちは忘れていた。帰りはさらに疲れている。しかも駐車場が渋滞していて抜け出せない。
ようやく富士急を出て、高速に入ったが視界の様子がおかしかった。高速の対向車線の向こう側に常に、ジェットコースターの電飾が見えているのだ。富士急などとっくに見えなくなっているはずなのに、高速の奥に常に「FUJIYAMA」が見えている。私は完全に疲れていた。Mに聞くと、車は左右にゆらゆら揺れているらしく、Mは頭を抱えてぶるぶる震えていた。
途中、二時間ほど仮眠を取ることですっきりし、なんとか帰ることができたが、家についたのは朝の七時だった。Mは「あれがいちばんの絶叫マシンだったね」と言った。

■山梨後…

・一日寝る
 次の日はまるいちにち寝て過ごした。よっぽど疲れていたんだね。

・鍋2
 鍋を作った。出汁スープを使っているので気軽に味変と調整ができる。

・ねことあそぶ
 私はすっかりねこと遊ぶことに慣れた。ねこBはすっかり私を気に入り、まとわりつくようになった。ソファに座る私の足元を、何度も行ったり来たりされると、私もほうっておけなくなってしまう。構うとねこにとって成功体験になり、ますますまとわりつくようになる。そんな循環ができあがっていた。喜ばれているようでよかった。私は求められることを求めている。

・20世紀少年を見る
映画は三部あり、合計八時間なので私は八時間かあと思った。その煽りで一悶着があった。
浦沢直樹作品は毎回引きが強烈なので、引きの部分ばかり印象に残り、真相を忘れてしまう。PLUTOなら「ボラーってなんだよ!」って記憶ばかりが残りボラーが何かはわからないし、20世紀少年は「トモダチって誰だよ!」という記憶だけが残りその正体は永遠にわからない。カンナの人の演技がすこしあやしく、B級感をあたえていたが、最後のケンヂとトモダチのくだりはとてもよかった。風呂敷を広げるより、もっとはやく身近なドラマを見たかったような気もする。
Mに「これってうみねこだよね」と言われ、たしかにと思った。この世のほとんどのものはうみねこである。

・ルイージマンション3
ルイージマンション3をふたりでやった。ルイージとほぼ同様の性能を持つ偽ルイージみたいなやつをもうひとりが操作できるので、よかった。難易度もむしろふたりでゆったりわいわいしながらやるのに適していたかも。ステージもよかった。ホテルを一階ずつ十五階まで探索するぜ!ということで、客室や駐車場やラウンジやとおとなしめだったが、そのうち城や撮影スタジオや砂漠や植物園などと、なんでもありになっていき、たのしかった。ボスもステージの数だけあり、しっかり攻略を求められるものばかりだったのでたのしかった。めちゃくちゃよかったね。

・豚バラなすび
スーパーに行き、鍋の具材と豚バラなすびの具材を買った。豚バラなすびはただの豚バラなすびではなく、なすびに豚バラを挟み、オリーブオイルと調味料をかけレンジでチンをし、刻みネギをまぶしていただくものだ。ツイッターで手軽でおいしいと紹介されていて、気になっていた。Mが作ってくれて、非常においしかった。ひとつ問題があった。おいしすぎてなすび五本をぺろりとたべてしまい、それでもものたりなかった。豚バラは余っている。もっとなすびを……。我々はいてもたってもいられなくなり、スーパーへと向かった。だがすでに九時を回っており、最初になすびを買ったスーパーはすでに閉まっていた。イオンのスーパーと別のスーパーに行ったが、なすびは売り切れていた。また食べたいものである。


・Mが鍋を作る。
そろそろ調理にぼくがかかわることにしゃらくささを感じていたのか、Mがひとりで鍋を作ってくれた。おいしい。雑炊もおいしい。

・ジブリを見る
TSUTAYAでジブリを借りてきて、ジブリまつりを開催した。今回のラインナップは「きみたちはどう生きるか」、「おもひでぽろぽろ」、「海がきこえる」、「風立ちぬ」である。

「きみ生き」はむかしのファンタジー風の異世界ロードムービーだった。なんやかんや世界がすごいことになるからよかったし、なんだか後継者がいない宮崎駿を見るようで思うところがあった。

「おもひでぽろぽろ」は少年少女の視点が描かれているし、昔の自分が視界に重なってくるような演出が涙腺に来てよかった。私も山梨から帰るとき、高速の向こうに存在しないジェットコースターが重なって見えたし。田舎や紅染めの話は身近ではなくなってしまったが、そういうのもあるのかもなあと思えた。私はむかしこの映画で生理を学んだ。なので性教育映画という印象が強い。

「海がきこえる」もよかった。起こっていることはとうてい現実離しているが、妙にREALな質感がある。修学旅行先のハワイという非日常で妙な女に六万円を貸してしまうというなりゆきから始まり、女が父親に会いに行く東京旅行につきあわされ、なんやかんやあって頬をぶたれて大人になる……。
同窓会には女だけ来ていない。だが旧友づてに女の話を聞き、高知城を眺めて女のことを想ってしまう。そのシーンでぼろぼろに泣いてしまった。
人は他者と接するとき、理解できたり、できなかったりする。行動の動機が語られ、こいつはこういう悩みを抱えていたんだと落とし込めたり、また矛盾するような行動を知り像が揺らいだりする。そのブレはしばしば疑心暗鬼という形であらわれる。昔の誰かを想い、自分が想定していないような行動が知ったとき、変わったと考えるのか、そういう人物だったと考えるのか、わからなくなったと思うのか。それは相手にもよるけれど、すくなくともあまり疑いたくはない。だいたい人は変わらないし、みんないろいろ事情があるし、がんばってると思いたい。

「風立ちぬ」も好きな映画だ。創造的な十年間で何をするべきか。何をしたのか。何をするべきだったのか。最後は都合がよすぎるというむきもあるけれど、まあ二郎もあれからいろいろ考えるかもしれないし、考えないにしても私がいろいろ考えるからそれでいいじゃんと思う。

・私が寝ているおなかの上でねこが丸くなって寝るようになる。あまり重くはない。ベッドに入っても私の隣に常にねこがいる。何かを求めているのだろうか?
この段階になると私を警戒していたねこAも姿を見せるようになり、カーテンの影や、ソファの下でまるくなるようになった。(掃除をしているさい、ソファの下のねこAに気づかず、クイックルワイパーで轢いてしまったこともあった)

・帰宅の準備
そんなこんなでお盆休みの終わりが近づいてきた。干している洗濯物を取り込み、パソコンなどを片付けた。荷造りをしていると、ねこBの様子がおかしくなる。私の前でおなかを見せて通せんぼしたり、しきりに前足を舐めたりしている。前足を舐めるのは不安を感じている動作だ。私が荷物をまとめるのを見て、去ることを察知したのだろう。胸がしめつけられるが、いつかは別れの日は来る。

・ドライブ
Mと夜にうちにでかけ、ドライブをした。カラオケを歌いまくった。米津の「さよーならまたいつか」から、スピッツ、グレイプバイン、アニソン(凛として時雨や石川智晶などの)、はたまた平成のヒット曲などをたくさん歌った。私はそれほどうまくないが、Mは歌がうまい。

・インサイド・ヘッド2
翌日は映画館に向かい、インサイド・ヘッド2を見た。頭の中の、ヨロコビ、カナシミ、うらみ、つらみ、ねたみ、そねみなどのかわいい感情キャラクターたちがわいわいしながら頭の外の人物の幸せを願い、いろいろやってる……という話だ。操縦室みたいになっている頭の中と、外側の私たちの世界に寄せた現実の出来事が平行して語られる。1は幼い少女が環境の変化を強いられ、つらい……という話だったが、2は主人公が思春期を迎えたことで、新たな複雑な感情が現れる。現実世界の主人公は板挟みを直面し、感情たちは主導権を奪い合いながら自分らしさとは何か向き合うことになる。

私ほどのピクサーファンになると冒頭十分で物語がどうなるかだいたいわかる。だいたいわかったが、やっぱり泣いてしまった。とくに主人公が落とした小銭を拾って親友になるところと(これは冒頭五分だ)、クライマックスで感情が暴走してしまうシーンは涙がとまらなかった。パニックになっているとき、頭の中の感情たちはこうなってますよという視覚的な凄さと、感情たちもどうしようもなくなるときもあるもんなという共感だ。途中すこしだれるところもあるが、しめるべきところをしっかりしめた良作だと思う。


・ミスド
その後私たちはミスドでおしゃべりをした。Mはダイエットを試みているため、ミスドに入るのは不安だった。私は映画を見ながらキャラメルポップコーンを食べていたので、コーヒーだけを注文するつもりでいた。Mはドーナツを一個トレイに乗せていた。盆の最後の昼時で、人も多く、私は席を取りにいった。座って待っていると、Mは最初からトレイに乗せていたドーナツに加え、何種類もの小さなドーナツ入ったカゴのやつを持って現れた。

・寿司
TSUTAYAをぶらぶらしたあと、寿司を食べてお別れした。

様々な体験をしたが、時間の感覚があやふやだ。今でも断片的に、お盆の出来事が昨日のことのように思い出される。山梨にいたのも夢のようだ。高速での帰り道で、カーナビに表示される到着予定時間がまったく縮まらず、絶望したことも嘘みたいに思える。いまではすべての輪郭がふわふわしている。(私がはんぶん寝ながら運転していたせいもあると思うけれど)。いまとなってはお盆以前と同じ生活に戻っているので、お盆での生活がぽっかり浮いてしまっている。帰ってきて三日も経てば体は馴染む。労働があり、日常に戻っていく。日が経つに連れ、お盆以前とお盆以降の時間の断面が直接繋がっていくような感覚がある。あの出来事はほんとうに起きたことなのか? いつも出不精で家でゴロゴロダラダラ過ごしている私が本当に山梨まで運転したのか? そしてほんとうに帰ってこれたのか? 疲れが取れていくほどに、特別な出来事は遠ざかっていく。それは少し寂しいから、こうして記録を残している。


■写真

ねこくさ7日目。結局ふたくちほどしか食べてもらえず、最後の日にはぼさぼさの茶色になっていた…
ねこ
なべ。いいしいたけを買ったらめちゃめちゃおいしかった。
諏訪湖。岐阜愛知長野山梨とさまざまな県をまたにかけた
牛くしを食べた恵那峡。Mが牛くしに憧れていたらしい。サービスエリアってたのしいよね
河口湖の船着き場(?)
スワン内部。出発。
REALスワンin湖。揺れるのでスマホを落とさないか不安だった。
河口湖の近くに山の上に行くロープウェイがある。列が長い。


高い
勉強になる
どこが富士かわからない。
パノラマ撮影。自分を回転軸にぐるっと撮れるモード。拡大してみよう。
どれが富士だよ
あれかなあ
焼肉屋にしては席がこじゃれている
ふらっとはいった焼肉屋の肉。ランチメニュー目当てだったのだが、なかった。ランチメニュー詐欺だ。(たぶんお盆のせい)
忍野八海。なんでこんな名前なんだろう。気取りすぎでは。
富士山から水が出ている。
人が犇めいている
すごく澄んだ深い池。人が多すぎてちょっと離れたところからこれを撮り、満足して離れた。
ブレすぎである
いい感じにとれた
お盆池ではない
地図撮るのすき


河口湖の橋を越え、ついに現れた富士。すごい解像度だった。たまに外に出ると肉眼の画質のよさにびっくりする。
躍動感のあるコースター
FUJIYAMAは富士山みたいな傾斜のラインを描く
富士急に入るとリサとガスパールタウンがある
富士急の途中にNARUTOの町がある。今回は工事期間らしく、奥にいくために必ずNARUTOの町を通らされた
病院型お化け屋敷。こわい。
デスゲームの結果。われわれはがんばった。
75メートルって書いた気がするけど79メートルだったわ
ドローンショー。これがピタッと静止しているからすごい。
ドローンたちは移動して様々な模様を描く。これは乗り物の部分だけが移動してアニメーションのようになっていた。


夜の富士急
すっかりなついて私のまたぐらにもぐりこむねこ。くつろいでいる。


スシ

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