5/11「『フーガはユーガ』IS『BABA IS YOU』」

伊坂幸太郎の『フーガはユーガ』を半分ほど読んで、完全にBABA IS YOUだったので驚いた。BABA IS YOUは「BABA」や「IS」や「YOU」や「KEKE」と書かれたブロックを押して、各ステージのクリアを目指す倉庫番のようなパズルゲームだ。特徴的なのはそのブロックに世界のすべてが支配されていることであり、「○○ IS YOU」が成立しているときにのみ、あなたは○○となり、○○を動かせる。「BABA IS YOU」の状態で白くてかわいいBABA(キャラ)を動かし、ブロックで「BABA IS KEKE」を作る。するとBABA は KEKEに変化する。しかしBABA IS YOUなので、あなたはもはや世界から存在が失われ、KEKEだけが残る。
 「BABA IS YOU」「BABA IS KEKE」「KEKE IS BABA」が同時に成立しているとどうなるか。BABA IS YOUは風来のシレンのように、キャラを一マス動かすごとに一ターンが処理される。なので、一ターンごとに、BABA は KEKEになり、次のターンでKEKE は BABAになる。二ターンに一回、あなたは存在を取り戻す。『フーガはユーガ』の世界でも、これと同じことが起こっている。「FUGA IS YUGA」と「YUGA IS FUGA」が、かれらの誕生日にのみ成立する。かれらは双子なのに、二時間差で産まれてきたからだ。
 『フーガはユーガ』と『BABA IS YOU』は同時期にリリースされた双子のような作品だった。なので「『フーガはユーガ』IS 『BABA IS YOU』」と「『BABA IS YOU』IS 『フーガはユーガ』」が成立していてもおかしくない。そこでじっと本やゲームを観察してみたけれど、恥ずかしがり屋なのか、どちらも特に変化することはなかった。でもよく考えてみるとかれらの誕生日をよく知らなかったので、もしかするとその特別な日には、たまにお互いにいれかわっていて、そしらぬ顔で一日をすごしているのではないかと疑っている。

グッドボタン!(チャンネル登録もよろしくね)