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元殺し屋の神主


人を殺し報酬を得る職業を殺し屋という。
殺し屋は、フィクションではなく実在すると言われている。そんな彼らが、殺し屋を引退した後、どこに住み、どこで働いているかなど、誰も知らない。


宮司「おはようございます。朝から掃除ありがとうね。」






元殺し屋1




元殺し屋2

神主「おはようございます。」






ここは、人里離れた所にある神社。
参詣する人も1日に数人くらいの、ひとけのない神社である。


宮司「袴が似合うようになってきましたね、もう慣れてきましたか?」
神主「いえ、お恥ずかしながらまだまだ分からない事ばかりです。」
宮司「無理もありません、まだ神主になって少ししか経ってないのですから。焦らず、少しづつ覚えていってくださいね」
神主「はい、ありがとうございます」
宮司「ちなみに、頼んでおいた例のモノは、持ってきましたか?」
神主「もちろんです」






元殺し屋3






元殺し屋4





元殺し屋5





元殺し屋6






元殺し屋7






宮司「それは、祭祀で使う道具です」
神主「なるほど」
宮司「正式名称は分かりますか?」
神主「SR-12.5mm...」
宮司「違います。大麻(おおぬさ)です、持ち方は分かりますか?」






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宮司「違います」





宮司「両手で持ち左右左の順に被祓者へ振りかざし使うものです。」
神主「分かりました」
宮司「今日、私はお祓いを頼まれたので、そちらに行って参ります。この神社は貴方1人になるので、任せましたよ。貴方のやりやすいように、やってもらえればいいですから」
神主「承知しました」
宮司「今日一日、貴方に何事も無いよう、この神社のお御守りを渡しておきす、どこかに身に付けておいて下さい。」




そして、神社には神主一人だけとなった。しばらくすると1人の青年が参拝しにきた。


青年「もう浪人は嫌だ!神様、お願いだから今年こそ合格させてください!おっと、お賽銭忘れてた、まぁいっか」






元殺し屋8

神主「動くな」





神主「こちらを振り向かず、合掌したまま聞け」
青年「だ…だれですか!?」
神主「私が誰かなど、お前は知らなくていい。まずニ礼ニ拍手一礼をしろ」
青年「わ..わかりました」
神主「まて、ゆっくりだ」

青年「しました」
神主「では、本題に入ろう。いくらだ?いくら、納める気だ」
青年「浪人続きで、お金はほとんど持っていないんです」
神主「....」
青年「生活するのも、やっとなんです」
神主「....」
青年「財布には、一万六千円くらい入ってます」
神主「....」
青年「一万円入れます..」
神主「....」
青年「一万六入れます」
神主「....」
青年「五円入れます」
神主「いいだろう、投げ入れろ」
賽銭箱に五円が入る
神主「たしかに前金は、受け取った。願いが叶い次第、もう一度五円を入れにこい」
青年「は..はい」
青年は、逃げるように神社から出て行った



しばらくして、次は女性がやってきた。

女性「すいません、どなたかいませんか?」





元殺し屋9,5

神主「動くな」





神主「こちらを振り向かずに、用件を言え」
女性「だ..だれですか!?」
神主「私が誰かなど、お前は知らなくていい。分かったら用件を言え」
女性「おみくじを引かせていただきたいのですが」
神主「では、引くがいい」
女性「あ..大吉だ」
神主「よかったな」
女性「大吉なんて、初めて出ました。私このおみくじの紙、大事に取っておきます。あの…お金はどうすれば」
神主「百円だ」
女性「じゃあ、ここに置いておきますね」
神主「いや、私が指定する口座に、後日振り込んでおけ」
女性「分かりました。あの…」
神主「まだ何かあるのか」
女性「おみくじ引いたら、この神社限定の物が貰えると、聞いたんですけど」
神主「その情報をどこで知った!?」
女性「ホームページです」
神主「そうか」

スッ

神主「今、お前のポケットの中に文字が書かれた紙を入れた。その指示に従えば、望むものが手に入るだろう」


女性はポケットから紙を取り出し、文章を見た


1.手水舎に、向かえ






2.そこから、1番近くにあるお札に書かれた文字をみろ






元殺し屋10






3そこに向かえ






元殺し屋11






4.右下に、×印の傷がある絵馬の裏を見ろ、そこにお目当てのブツがあるはずだ






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5.ここの神社限定、巫女ちゃん人形プレゼント
*この紙とおみくじの紙は、近くにあるロウソクで燃やせ



しばらくして、40代くらいの男性が、やってきた。男性は、一礼せずに鳥居のど真ん中を通った。






元殺し屋14

神主「動くな」






神主「振り向かずに聞け。そこは神様の通り道だ」
男性「だれだ」
神主「私が誰かなど、お前は知らなくていい」
男性「その声…死神だな」
神主「!?」
男性「探したぞ」
神主「俺は、もう足を洗った人間だ。関わるな」
男性「一つ聞きたいことがある。なぜ引退した。業界一の腕を持った男が、何故殺し屋を辞めたんだ。どこで道を踏み外したんだ、死神よ」
神主「道を踏み外しているのはお前だ、鳥居の端を通れ」
男性「すっかり神主だな。元殺し屋なら、なぜ俺が死神に会いに来たのか分かるだろう?」
神主「お前が殺し屋で誰かに依頼された、といったとこだろう」
男性「…」
神主「…」


ズギューン



弾丸が男性の胸に一撃で命中する

男性「...やはり..隠し持っていたか。俺をやったところで、殺し屋はまた来るぞ…」
神主「無駄だ、私には神がついているからな」






元殺し屋15


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