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私はメダカを産卵させて観察するコトが面白かった元小学生

睡蓮鉢には10年以上を共に生きている5匹の金魚がいる。里子でもらったので正確にはわからない。

うち1匹は、ところどころ鱗が落ち、2つの目は白く、おそらく匂いも分からず、身体は少し捻るような奇形だ。痩せたのでよく見えるようになったのか、エラの周りには、他の金魚にはない金色の三日月型のピカピカ輝く綺麗な部分がある。四六時中ひっくり返っていたり、頭を下にして縦に浮いたり、省エネモードだ。
初めて見る人は、小さな声で「死んでますよ」と教えてくれる。

たまには数日、留守にする事もあるけれど、5匹は睡蓮鉢の底で、ちゃんと静かに朝が来るのを待っている。1匹は漂う感じで。
「今夜は長いな〜」とか思ってたりするのかな。

5匹は金魚とはいえ、ちゃんと私のことはわかっている。
睡蓮鉢の側を通ると
メス1「ゴハンですか?」
オス1「どうせ違うんでしょ」
オス2「わぁ〜ィ!嬉しい!嬉しい!」
メス2「スタンバイOK!」
四匹四様にアピールしてくる。

睡蓮鉢の中は
一日一回のゴハンと
一日数回のスポイトでのゴミ取り
一日一回の簡単水換え
あとはお客さんが覗いたら顔を見るだけの毎日だ。
猫がスリスリしてくるように、金魚も暇つぶしにスポイトの周りに寄ってくる。掌で包んで抱きしめたいような気もするけれど、魚に人間の手の体温は火傷させるようなモノ。
スポイトをツンツンする全く警戒心のない金魚達。

閉店時間が近づくと4匹はゴハン感を出し始める。
「生きている」
人生と魚生が交わる、金魚の魂のジャ〜ンプ。
4匹のゴハン感は、もう1匹の要介護金魚にも伝わる。この時間、私はこの1匹の金魚の口元に集中している。一生懸命、全力で無闇矢鱈と口をパクパクさせる。目の前にゴハンがあっても分からない。口の上にくっ付いていても、全力のパクパクだけで口には入らない。そのうち水の流れでゴハンは他の金魚が食べる。こちらも諦めずにゴハンをその1匹の口の前に落とす。私の手の影に驚いてクルクルさせてしまう。
やっと一粒、シュ〜ッと口に入ると、捩れた身体の全力でクルクル泳ぎまわり、又ぐったりとする。以前は、また闇雲にパクパクして2.3粒食べれていたが、最近は一日一粒で力尽き、またお腹を見せて省エネモードに戻る。

この1匹は、毎日、奇跡を生きている。

5匹のふわふわした世界は、成熟した社会にも見える。「飢えるコト」を知らないため弱肉強食でもなく、マイノリティーであるはずの1匹は、きっと他の4匹のゴハン感がなければ、とっくに餓死していたであろう。そこで他の金魚は何か得ているのかと言うと、そうでもないけれど、強いて言うなら、要介護金魚が死んでないか気になるので、よく睡蓮鉢を覗くついでに、ゴミがあれば吸うし、水位が低ければ足す私がいるだけだ。私は、過去に飼っていた金魚のトラウマを超えて「夏休みがあった頃」に浸っていられる。
#family #金魚 #生き物 #可笑的花

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