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『魍魎の匣』三分の一を読んで

東西ミステリーベスト100の国内ランキングベスト10を読んでいる。

図書館で借りる都合上、第9位の『魍魎の匣』が最後になった。
京極夏彦氏の作品は、映画やアニメになるほどエンターテイメント性が高く、面白いに違いないのに、恥ずかしながら読むのはこれがはじめて。
薄気味悪い感じや文芸作品並みの品質の高さは、横溝正史作品に負けず劣らず。読み進めるのが楽しみになる。

上・中・下巻に分かれた長編で、ようやく中にさしかかったところなので、何が何だかさっぱりわからない混迷のさなかである。

上の後半でようやく京極堂が登場し、一気に物語が盛り上がってきた。
中でも興味がひかれたのは、占いと宗教と超能力の違いについてのくだり。物語中に出てくる「穢封じ御匣様(けがれふうじおんばこさま)」という何とも胡散臭い新興宗教のよくできたシステムがみごとに説明されていてうなってしまった。

どんどん自ら財産をささげずにはおれなくなる様は、今話題の宗教とそっくり同じ。

村田沙耶香氏の『信仰』を読んだ時も、なんてタイムリーなお話かと思ったものだったが、タイムリーなのではなく、普遍的なテーマなのだと気づいた。

宗教に限らず、ヒトは何かを信じて生きている。信じないことには生きられない。

もう一つ、京極堂の話で学んだことがある。それは「未来は誰にもわからない」ということだ。これってある意味希望かもしれない。

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